今年も"園芸療法士"試験合格者がでました!

2021年03月08日
恵泉女学園大学学長 大日向雅美

多摩キャンパスは2020年度の学事日程をほぼ終えて春休みに入っています。
温かな春の陽ざしに恵まれて、あちらこちらに草木の芽生えが見られるようになりました。

とても嬉しい報告が届きました。
昨年に続いて、今年も2名の学生が"園芸療法士"の試験に合格したという知らせです。
"園芸療法"について指導を担当してくださっている澤田みどり先生からいただいた報告をご紹介いたします。

澤田みどり先生(園芸療法)

園芸療法とは、植物や植物のある環境、園芸作業を病や障がいとともに生きている方々への支援、リハビリテーションに活用する方法です。本学は日本園芸療法学会認定講座に位置づけられ、園芸療法士の資格取得支援をしています。

去る2月21日、名古屋にて日本園芸療法学会認定園芸療法士試験が執り行われ、2名の学生が合格いたしました。園芸療法士資格取得を目指し、学業(園芸療法必須科目200時間以上)、サークル活動、アルバイト、就職活動に加えて学内外の園芸療法実習500時間以上を実施するのは容易なことではありません。計画的に時間を使い、夢に向かって頑張る学生達を指導できることは私にとっても大きな喜びです。

実習生を温かく受け入れてご指導くださった諸施設職員のみなさま、彼女達をかわいがり、成長させてくださった施設利用者の皆様、優しく時に厳しく指導くださった諸先生方に心よりお礼申し上げます。

園芸療法を学び、実体験を重ねる学生達を見ていると、「自己を尊重し、自己を愛するように他者を尊重する」、「偏見や差別に立ち向かう力を育む」、「自然を慈しみ、いのちを尊ぶ人を育てる」という大学の教育理念に適って成長していることを実感します。

福祉やリハビリテーションの学科がない中でも、全学科共通で園芸療法士を目指すことができるのは、土に触れ、いのちを育む園芸の授業を全学必修にし、園芸作業を介して多様ないのちとの共生、多様な人々と偏見なく繋がり共生・協働しようとする態度を身につけることを目指している教育の礎のおかげと思います。

これからも園芸療法を介して社会に貢献していく学生達へご指導、ご支援、ご協力をよろしくお願いいたします。

桝居奏 (社会園芸学科4年)

念願の園芸療法士試験に合格しました。

大学2年生から実習を始め、3年間で600時間を超える経験を積ませていただきました。学内の園芸療法活動である恵泉土曜園芸クラブのような地域の活動に始まり、8箇所の施設に受け入れていただき、実習を通じて多方面での異世代交流を図ってきました。

昨年からは、感染予防で活動はオンラインが主流になりました。オンラインにしてまで活動を続けてきたのは、それまでの実習経験から植物の生きる姿はもちろん、顔を見て交流することが孤独感や喪失感を多少なりとも軽減し、前向きに生きる活力の素となることを確信していたからです。

私にとってこうした経験ができたことは大変幸運なことでした。世の中には課題を抱えつつ日々を過ごしている方が沢山いるということを実際に知り、その方々と時間を共有し、植物を介して共感することができました。

園芸療法の活動をするのは簡単ではなく、理解不足で失敗することもありました。しかし、植物や園芸作業を通じて相互理解に努めることで、自身の視野を広げることに繋がりました。

卒業して今後どのような世界が待っているのか想像もつきません。しかし、どんな時であれ世の中を広く見渡すことを怠らず、相手と尊重し合う姿勢を忘れずに生きていきたいと思います。

岩井迫愛海(社会園芸学科4年)

自らの障害を新たな挑戦の切り口としたい、園芸の楽しさを障がいを持つ人々にも知ってもらいたいという気持ちから、大学生活の大きな目標として園芸療法士の資格取得を目指しました。

入学当初は視覚特別支援学校から健常者の集まる一般の大学に入学することに大きな不安を感じていました。しかし、2年半かけて園芸療法実習経験を積み重ねる中で、私の障がいを理解し共に活動できる多くの仲間や、私のことを娘のように慕ってくださるご利用者様方に囲まれた豊かな大学生活を送ることができました。何よりもゼミ担当教員の澤田みどり先生を始めとし様々な方々にご助力いただき、大きな目標の1つであった視覚障がい者を対象とした園芸活動も実現することができました。

今後は「できない事は誰かが代わりに行うのではなく、どうすればその方にできるのか」を模索することを大切にし、視覚障がい者の方々を対象とした園芸クラブを発足し、園芸療法活動を続けることを目指します。

恵泉土曜園芸クラブ(10月30日対面活動)
全員ハロウインの服装で種まき作業
右が桝居奏さんです。
多摩市視覚障害者福祉協会の皆さんと立ち上げた園芸クラブ「クラブミント」の活動風景、レイズドベッドに花の寄せ植えをしています。
クラブミントの記念写真。
多摩市視覚障害者協会のみなさんと協力をしてくれた学生たち。
前列左から4人目が岩井迫愛海さんです。

来週の学長の部屋は3月16日火曜日にアップいたします。ご了承ください。