コロナ禍の夏を過ごした学生たちを思い、秋学期スタートしました
2021年09月27日
恵泉女学園大学学長 大日向雅美
すっかり秋めいてまいりました。ともするとこの夏の暑さも忘れがちなくらいの涼しさですが、連日コロナ感染者数の急増に怯えながら過ごしたこの夏の厳しさは、忘れることができません。
もっとも、私自身はというと、仕事上はオンラインの普及もあって、さまざまな会議や講演等がオンラインで行われ、外出することなく用が足せる便利さも経験した夏でした。
しかし、若い世代や子どもたちはどうだったのでしょう。本来の夏であれば、海や山に、あるいは日本各地に、海外へと出向き、存分に羽を伸ばし、日常とは異なる経験ができる季節であったはずです。どんな思いで過ごしたのか、コロナ禍も2年目の夏でしたので、気がかりでした。そんな折、私のもとに届けられたある声が深く胸に刺さりました。
この夏のオリパラでボランティアをなさったシニア世代の方からの声です。コロナ禍でのオリパラ開催に関してはいろいろな意見が交わされていました。しかし、誰もが認めたこと、とりわけ海外から日本を訪れた方々から異口同音に高い評価と感謝の言葉が寄せられたのは、日本のボランティアのすばらしさでした。
しかし、実際、ボランティア当事者として参加したその方は、次のように話しを始められたのです。「ボランティアが置かれた環境は実に過酷でした」。
大会運営側の混乱も想定されますが、それを考慮してもなお、メディア等の報道では知りえない厳しさをお話くださりながら、しかし、その方はこう続けられたのです。「それでもなお、若い人たち、学生たちは皆、喜んで駆け付けてくれたんですよ。そして、懸命に働いたのです。なぜかわかりますか?人と関わりたい。だれかの役に立ちたい。その一心だったのです。彼らの笑顔は本物でした」と。そして、最後にこうおっしゃいました。「先生方、感染対策に力を尽くしてください。その一方で、こうした若い世代が求めているものに応えるために、ときにはリスクに対峙する覚悟も忘れないでいただきたい」。
このメッセージをくださったのは、本学の『生涯就業力推進センター』の中の「山城会」のメンバーのお一人です。「山城会」については、こちらをご覧いただければと存じますが、本学では、「山城会」の皆様に支援講座(「コーポレート・マーケッティング」講座 担当:青木良和先生・元富士フイルム株式会社執行役員)等で、産学共同の立場から学生育成にすばらしいご貢献をいただいております。
ここにご紹介したメッセージはその「山城会」方々と先日、大学で会合を持たせていただいた席上でのことでした。この会合ではこの方のメッセージの他にも心に残る素晴らしいお話をたくさん伺うことができました。詳しくは追ってこのブログでご報告させていただきます。
大学は先週から秋学期がスタートいたしました。コロナ感染者数は減少傾向にあるようですが、一方で変異型の脅威も指摘されています。実習や実験、ゼミの一部は対面形式、他の講義はまずはオンライン形式、また課外活動等は感染予防対策を確認しながら認める等々、慎重なスタートを切りました。コロナ禍の夏をどのような思いで過ごしたのか、一人ひとりの学生のことを思いながら、学生たちの学修環境の整備に全力であたってまいります。
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