成人の日に寄せて

2022年01月10日
恵泉女学園大学学長 大日向雅美

成人の日を迎えられた皆様、おめでとうございます。
昨年に続いて、今年もコロナ禍の下でのお祝いメッセージになります。

この2年近く、私たちは先が見えない暮らしの非情さと不条理を思い知らされています。
本来であれば、成人の日は将来にさまざまな計画を立てるときかと思いますが、それがなかなか叶わないのが現実です。コロナ禍が収束しても、様々な変化に揺れ動くことが日常となるニューノーマル時代の到来も伝えられています。
若い皆様の不安を思うと、正直、いたたまれない思いに襲われます。

もっとも、生きていれば、さまざまな理不尽さや矛盾に遭遇する、それが人生だ、とよく言います。そうした困難と闘うことの大切さ、闘ってこそ道が開かれることもまた、多くの先人たちが示してくれています。

そうであればこそ、皆様には恵泉ブランド「生涯就業力」を磨き、何があっても、めげずに、いつどんなときにも目標を見失わず、ご自分を大切に、しなやかに凛として生きていただきたいと心から願っております。

そのために必要なものは「希望」です。「希望」は単なる夢とは異なります。私たちが置かれている現実から目を背けず、自分が立っている足もとをしっかり見つめる中から見出される明日を生きる力です。いつ終わるとも知れないコロナ禍に翻弄されながらも、この2年、めげずに耐えてきた皆様の中には、「希望」を見出す力が確かに育まれていることと思います。

皆様の多くは2年後に大学を卒業し、社会に羽ばたかれることでしょう。どのような仕事に就くか、どのような生き方をするか、今はまだ見えていないかもしれません。でも、「希望」を忘れさえしなければきっと手に入るものがある、それはなにものにも侵されない「誇り」です。どのような仕事であれ、どのような生き方であれ、自分らしい「誇り」をもって生きられるか否かは、どんな富や名声にも勝るあなたの生きる力となるはずです。

一日一日を大切に、与えられた仕事・出会った人に誠実に向き合う・・・、ささやかで地味に見えることかもしれませんが、「希望」の灯をともし続けて、前に一歩踏み出しましょう。それがこの先の不確かな時代を確かに生きる力となることを、そして、いつの日か、あなたがご自分らしい花を咲かせて、確かな道を誇らかに歩み続けることにつながることを信じていただけたらと思います。
成人、おめでとうございます。

本学の「生涯就業力推進センター」にお力添えをいただいている山城会メンバー:宮代文夫様がご自身の「花紀行」で撮影されたユキワリソウの写真。新年のご挨拶としてお贈りくださいました。厳しい寒さに耐えて咲く希望の花です。