恵泉ゆかりの方々からご著書をいただきました

2022年01月17日
恵泉女学園大学学長 大日向雅美

新年も半ばを過ぎました。本日は恵泉ゆかりの方々からいただいたご著書2冊をご紹介いたします。

1冊目は、矢部たまら『アルルの跳ね橋』(文芸社)です。

著者は恵泉中高をご卒業になられた方(ご本名 矢部珠代様 1943年お生まれ)で、塚本康子同窓会長を通していただきました。「終活」をしている中で、25年~30年近く前に文章教室で書きためていらしたものをたまたま見いだされたのがご出版のきっかけだったとのことです。
ご本の帯には"緊迫感に満ちた文体が、読者を一気に息詰まるドラマのなかへ引き込む!"と書かれていますが、まさにその通り。私も魅了されて一気に読ませていただきました。

ご本の扉を開けたところに、学生の皆様への直筆のメッセージが書かれていました。

恵泉女学園大学の皆様

私は昔、中高へは通いましたが、大学へは一度伺ったきりであまりご縁がありませんが、恵泉というだけでとっても親しみを感じます。貴女たちは私の孫のような存在ですから。
授業はオンラインなのでしょうか?
学校ではぜひ一生の良き友を得て意義ある学生生活を送ってくださいね。矢部たまら

2021年12月20日

そして、あとがきに、次のメッセージがあります。

最近私は思うのです。今の日本は豊かで平和だけど本当に幸せを感じている人は一体どのくらいいるのだろうか?家庭、学校、職場。どこにも居場所がなくて生きづらさを感じている人、長い間無視され続け悲しむ人。絶望や孤独に日々悩む人。そんな方達へフォト・ポエムを書いて見ました。

<冬のたんぽぽ>

物置きの裏に咲くたんぽぽの花一輪。みつけたよ、 ちゃーんと見たよ。
そして言うよ。黄色がきれい、とってもきれい。
綿毛がとんで路傍の石の上に一輪だけ咲いても 誰かが見るよ。きっとみつけてくれるよ。そして言うよ。とってもきれい、黄色がきれいって。
聴こえる? すぐそこにいる春の声が。

2冊目は、深田未来生・木村利人 共著『ボクたちは軍国少年だった!』キリスト新聞社

本書の帯には次のような言葉が記されています。

戦時中「少国民」として軍国教育を受け、戦後、価値観の大変革で何も信じられなくなった「万年反抗期」のふたりが、どのように平和を愛する者に変わっていったか。人生を振り返りながら、未来へのメッセージを語る。

そして、あとがきに書かれた深田未来生氏(同志社大学名誉教授)の一文に胸を打たれます。

私の願いは志を分かち合える人々を求め続けることです。既に知っていて目に見える「同志」だけでなく、未知で、ことによると生涯顔と顔とを合わせて出会うことがないかもしれない「同志」と心を共にして真の平和の実現のために努める仲間が増えることです。

木村利人氏(早稲田大学名誉教授)は国際的なバイオエシックス(生命倫理学)研究者として知られ、本学の第6代学長(2006年~2011年)を務められた方です。また「しあわせなら手をたたこう」の作詞者として、その誕生秘話がNHK:BS1スペシャル(7月31日)「幸せなら手をたたこう ~名曲誕生の知られざる物語~」でも紹介されています。

新年1月3日に上梓されたこのご本は、神学と生命倫理学の第一人者のお二人が、それぞれに平和を希求して歩まれたこれまでを自伝という形で著されたものです。

この2冊を拝読しながら、この一年がどうか平和でありますようにと、平和への祈りと誓いを新たにいたしました。
大学の図書館に寄贈しておきますので、皆様もぜひ手にとってお読みいただければと思います。