"なりたい自分になる" 1年間の学びを終えた学生たちの夢と希望

2022年01月24日
恵泉女学園大学学長 大日向雅美

冬本番を迎えています。加えてオミクロン株の急激な拡大に、冬の厳しさが一段とこたえますが、多摩キャンパスは対面授業に切り替えた秋学期をなんとか無事に終えることができました。厳しい環境下でしたが、学生たちが落ち着いて学びに取り組めたことは、何より嬉しく安堵しております。今日はその学生たちの学びの成果の一つとして、「生涯就業力STEP授業Ⅱ」についてご報告いたします。

「生涯就業力STEP授業Ⅱ」は1年生(必修)を対象として、女性のライフステージにおける諸問題に向き合いつつ、恵泉での学びを培うことの意義を見出すことで、「わたし」の歩みについて考えを深めることを目的としています。授業最終日に、これまでの学びの集大成ともいえるグループ発表が行われました。テーマは「なりたい自分になるために」

各グループの発表は、今日の日本や世界が直面している課題に即して、そこに自分たちのこれからの生き方を重ねているものでした。いずれも確かなデータやエビデンスに基づいていて、そのプレゼンテーションの説得力の豊かさに感嘆いたしました。

この学年は進路を決める高校3年生のときに新型コロナウィルス禍に翻弄され、大学入学後も通常とは異なる学生生活を余儀なくされた学生たちです。さまざまな制約下にあって、どんなに不安や葛藤の多い生活だったかと思います。それだけに将来の自分の生き方に確かな夢を描いてくれたことに、正直、感動いたしました。

かつて国際比較調査で、日本の若者は自己肯定感が低いことが問題とされました。とりわけ、社会への関心が低く、自分たちの力で社会を良い方向に変えていこうという意欲や将来への希望が弱いということでした。しかし、「生涯就業力STEP授業Ⅱ」の学びを終えた本学の1年生たちの発表は、こうした懸念を払しょくするものでした。

「生涯就業力STEP授業」は、企画運営メンバーを中心に、本学の教員の多くが参画して指導にあたっています。先生方の尽力にも感謝したいと思います。
企画運営にあたった先生方から一言ずつメッセージをいただきましたので、ご紹介いたします。

宇野緑(実践神学)

各テーマにふさわしい講師の先生方、また講義後にもたれたファシリテーター別のグループワークを通して、授業でのメッセージが私の頭の中で思い描いていた以上に、学生たちの心に届いていたことを、最終回の発表を聞く中で感じることができました。
授業のコーディネートにはエネルギーを要しますが、一人の教員の科目では為し得ない豊かな時間が育まれているように思います。中には、消化不良の学生もいたかもしれませんが、一人ひとりの心に蒔かれた種がそれぞれにふさわしい時に芽吹きが与えられることを祈っています。

水上晃実(教育学)

「なりたい自分になる」この願いを持って未来に希望を見出すことは、入学時からオンライン授業に取り組むこととなった1年生にとっては簡単なことではなかったと思います。それでも、現状から目をそらさずに、今後の人生において立ちはだかるであろう数々の壁について真剣に考え、友達と意見を分かち合いながら解決策を模索する学生の姿を心から誇りに思いました。そして、その姿こそ、創立者河井道先生が願われた恵泉生の姿であったと思います。みなさんのこれからの日々が、明るい光に満ちたものとなることを願ってやみません。

鈴木真子(生涯就業力)

この1年間の授業で、1年生の目をみはる成長に驚きを隠せません。
このことは、各ファシリテーターの先生方の授業で講師陣の講義を咀嚼し、じっくり議論を展開して頂いたことによる結果と感じています。発表では、学びに対する意識の変化が、目に見えた形となったことに幸福感を覚え、コアメンバーの先生方と試行錯誤して歩んだ1年に改めて感謝しております。
今後学生ひとり一人が、自ら考え行動し、自信を持って人生を歩んでいかれることを切に願っております。