春学期終了のご報告
2023年08月07日
恵泉女学園大学学長 大日向雅美
先週をもって、春学期が終了いたしました。今年度以降の募集停止の発表をもって始まった春学期で、学生たちの不安と動揺はいかばかりかと案じられましたが、授業が始まってみると、非常に落ち着いて意欲的に学ぶ姿がキャンパスのあちこちに見られました。
そうした学生たちの様子をご紹介して、春学期終了のご報告といたします。
最初は、本学が毎日、朝の1限と2限の間に行っているチャペルの礼拝で、感話を述べてくれた学生たちの声(ごく一部の抜粋ですが)です。
一人目は、現在、社会園芸学科2年生。中学高校時代に学校生活になじめず、通信制高校から本学に入学した学生です。
通信制高校を卒業した後はすぐに大学へ進学するという決意が湧かず、アルバイトを始めましたが、そうしているうちに、大学へ行くというかつての目標が頭をよぎり、自ずと大学進学を視野に入れ始めました。しかしここで、「本当に私なんかが毎日の通学を?しかも大学なんて未知の世界に行けるのか?」と強烈な不安が襲いました。オープンキャンパスに行ってみる、これだけでも私には相当な勇気が必要でした。勇気を振り絞ってオープンキャンパスに参加して、入試担当の先生とお話しました。自分が不安に感じていることを伝えると、その先生は背中を押してくれました。農場ツアーにも参加しました。恵泉の自然に恵まれた美しい畑や、先輩方の様子を見て、「ここで挑戦してみたい、目標を達成してみたい」と感じました。
入学後、私の生活には目まぐるしい程の変化が沢山ありました。その殆どは授業や課外活動で出会った人々がもたらしてくださったものです。一年生の春学期に履修した、写真と短い文章で「想い」を印象的に伝える「表現力実践」の授業では桃井先和馬先生に感じたこと、考えてきたことを文章化して伝えることの大切さを教わりました。何かを伝えるということは同時に自分自身の心を見つめ、考えることだと感じました。このままではいけないと思うようになりました。気がつけば、私は本当に恵まれた環境にいました。私の背中を押してくれた先生は一人や二人ではありません。ここではお話しきれないほど素敵な先生方や先輩、同級生がいます。恵泉という恵みの泉に集まる人々だからこそだと感じています。他者との出会いが自分の心を変える。以前の自分には考えられないことでした。大学生活はまだまだ続きます。きっとこれからも自分から一歩進めば、沢山の出会いがあるでしょう。それによって私はまた、自分を見つめ直すことになります。恵泉には机上の学習に留まらず、何かを経験して学ぶチャンスが沢山あります。その一つ一つを大切にして残りの大学生活も過ごしていきたい、と考えています。
もう一人は、今年入学した日本語日本文化学科の1年生です。
私は国語科の教員になることを夢みて恵泉を選びましたが、正直恵泉に入学しようか辞退しようかとても迷っていました。募集停止が原因で将来の夢から遠ざかってしまうのではないかと悩みました。私がなかなか答えを出さずにいると母が「あなたの決めた道なら何でも応援する。失敗しても何とかなるから大丈夫!恵泉に入学してから決めてみたら?」と背中を押してくれました。私は母からの言葉と募集停止についての大学説明会での話を聞いたうえで恵泉に入学しようと気持ちを固めました。
無事に入学式を終え、待ち望んでいた大学生活が始まりました。大学での生活は慣れないことが多くありますが、困っていることがあると声をかけてくれる方が多く優しさに溢れている大学です。まだ入学してから3か月しか経っていませんが、後悔することはなく恵泉に入学して良かったと思っています。
私はこれから期末試験の週間に入ります。レポート形式やテスト形式と教科によって期末試験の形式は違っています。最初の試験で転ばないよう自分の出来ることを精一杯やって試験に挑みたいと思っています。さまざまな方のサポートによって安心して大学生活をおくれていることに感謝し、今度は私も困っている方を見かけたら実行できる人でいたいと思います。 そして、私は恵泉女学園大学の最後の卒業生として胸を張って大学生活を終えられるように、日々の何気ない一日を大切にし、学び続けていきたいなと思っています。
次は春学期も最後の週に行った恒例の成績優秀者表彰についてです。
本学の成績優秀者表彰は前年度1年間を通して、各学科でGPAが1位と2位の学生を表彰しております。教職員や同級生たちが見守る中、代表で受賞の挨拶をした学生は「昨年度はコロナ禍の不安もまだ多く、通常の学生生活が十分送れない中、ここまで頑張れたのは、互いに励まし合った友人がいたから。教職員の方々が私たち学生をいつも大切にしてくれたから。そして、家族の応援があったから」と「感謝」の言葉を幾度も繰り返していました。
こうして学生たちは無事、夏季休暇に入りました。今年の夏は連日、酷暑という言葉が聞かれるほどの厳しさですが、無事、元気一杯、夏を楽しんでくれることを願っております。