新年を迎えて
2024年01月01日
恵泉女学園大学学長 大日向雅美
あけましておめでとうございます。
新年を寿ぐとき、真っ白な清々しさとこれから始まる日々に期待を覚えることが常ですが、今年は「おめでとうございます」と口にすることに、正直、ためらいを禁じ得ません。
ロシアとウクライナ、パレスチナとイスラエルの地で続けられている凄惨きわまりない破壊と殺戮にさらされている人々の恐怖と絶望が心から離れません。
これほどまでに平和への願いが無視され、かけがえのない命が無残に奪われ続けている現実を前に、誰もが祈るしかできない無力感に苛まれていることと思います。
そんな人々の思いがあるからでしょうか。「朝に種を蒔き 夕べに手を休めるな」という旧約聖書 コへレトの言葉11章6節を耳にする機会が最近、増えています。
「うまくいくのはあれなのか、これなのか、あるいは、そのいずれもなのか あなたは知らないからである」。だから「朝に種を蒔き 夕べに手を休めるな」というコへレトの言葉に、結果を思いわずらって絶望することなく、たえず祈り続け、考え続け、努力を惜しまないことの大切さを教えられる思いです。
本学の今の状況を想う気持ちも、まさに同じです。
数年後の閉校を前提として、昨春、今後の学生募集停止を決定いたしました。
全国各地から多くのご心配とお励ましをいただきました。
在校生と卒業生、保護者の皆様に大きな驚きと哀しみを与えた申し訳なさに、胸の痛みが消えることはありません。
その後の多摩キャンパスの模様は毎週、このブログでもご報告してまいりましたように、学生たちは静かに、穏やかに、学びを続けてくれています。教職員が日々、懸命に心を尽くして学生の学びの支援にあたっております。卒業生からも在校生を思い、教職員をねぎらう励ましの言葉が数多く寄せられています。
そうして、昨年一年間を無事に終えることができましたことは、本当に有難いことです。
皆様のお支えに感謝の思いを深め、前述のコへレトの言葉を胸に刻んで2024年を始めたいと思います。
4年近くに亘って苦しめられてきたコロナ禍もようやく収束に向かっているようです。
苦しみには必ず終わりが訪れることを信じ、種を蒔き続ける努力を惜しまない一年でありたいと思います。
世界の平和を、そして、本学の学生・卒業生・保護者の皆様の平和を心から祈って、2024年の年頭のご挨拶とさせていただきます。
光よ やみを照らせ ま昼のうちに すませ給え
(日本Y.W.C.Aの歌集:1925年発行河井道 訳詩)
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