9月卒業式・学位授与式 報告

2024年09月16日
恵泉女学園大学学長 大日向雅美

9月半ばに入っても、残暑厳しい日が続いておりますが、いかがお過ごしいらっしゃいますか。
先週の木曜日(9月12日)に、9月卒業式・学位授与式を執り行いましたので、ご報告いたします。
今年度の9月卒業は、学部から15名(人文学部日本語日本文化学科2名/同英語コミュニケーション学科4名 人間社会学部国際社会学科2名/同社会園芸学科7名)、大学院平和学研究科平和学専攻1名でした。

次第と学長式辞は下記の通りです。

次第

司会:副学長 藤田智
奏楽:大学オルガニスト 関本恵美子
前奏
讃美歌:讃美歌21 557番 一同
聖書朗読:ヨハネによる福音書 15章5節 キリスト教教育主任 宇野緑
祈祷:同上
卒業証書・学位記授与:学長 大日向雅美、副学長 稲本万里子
式辞 「咲-SAKU- そして実を結ぶ」:学長 大日向雅美
讃美歌:讃美歌21 27番
後奏

式辞 咲-SAKU- そして実を結ぶ

皆様、学部のご卒業、大学院のご修了、おめでとうございます。
ご家族・保証人の皆さまにおかれましては、お嬢様が今日の良き日を迎えられたことを、心からお慶び申し上げます。
本日は学園から、樋野理事長・廣瀬学園長・宇田川本部事務局長がご臨席賜っております。感謝申し上げます。
卒業式の式辞を述べさせていただくことは、学長の仕事の中でも大切なことの一つと考えております。明日から社会に巣立っていく皆さまの前途がどうか幸多いものであるように、そして、そこにこのキャンパスで学ばれたことが豊かな実りをもたらしてくれることを心から願って、お祝いの言葉を述べさせていただきます。

しかし、それは私、学長ひとりの願いではありません。ご入学された日より今日まで、皆さまのことを常に見守り、その学びに寄り添ってきた恵泉女学園大学教職員すべての願いと祈りであり、それを代表して式辞を述べさせていただきます。
本日の式辞タイトルは、事務局庶務課の方が考えてくださったものです。そして、それにふさわしい聖書の言葉を宇野先生が選んで、今、読んでくださいました。

「咲-SAKU- そして実を結ぶ」という言葉の中に、私はこれまで皆さまお一人おひとりが、自分らしく咲くために辿っていらした道のりと、決して短くはなかったこれまでの日々の中で傾けられた努力を思います。本当によく頑張られました。努力は人をあざむくことはけっしてありません。かならずたしかな実を結ぶことを信じております。
そして、その実は、できたら今日の聖書箇所に描かれているぶどうのような実であってほしいと願っております。

ぶとうはあらゆる方向につるを伸ばして、いろいろなものに巻き付いていきながら生長していく植物です。その結果、豊かな実を結ぶ植物です。人びとの心と体に滋味を与える実をたわわに実らせます。

ただ、そうしてぶどうがすこやかに生長していくために欠かせないことは、旺盛に伸びていくつるの処理にあるとも聞きます。いろいろなものに巻き付いて伸びていく過程で、自分の首(果房や葉柄)をしめつけかねない危惧があって、それを防ぐ処置・「誘引」が欠かせないということです。「誘引」という処置は、ぶどうの枝を棚にしっかりと結び付けて、枝が途中で切れることを防ぐ作業です。つるをぐんぐん伸ばして、いろいろなものに巻き付いていきながら生長していくがゆえに、その根本となる自身の枝の補強が欠かせないということです。

ぶどうが生長していく姿はまさに、皆さまがこのキャンパスで学ばれた恵泉ブランド「生涯就業力」の心につながるものと思います。

「生涯就業力」とは、いつ、何があっても、まずご自分を大切にすることです。ご自分を大切にする心を持って、他の方々のかけがえのなさを想い、他者と共に生き、社会につくす喜びを得ることを生涯にわたって模索し、磨きつづける努力を惜しまないことです。

多様性が尊重される今、そしてこれからの社会を生きる皆さまにとって、大切なことは周囲の方々を尊重し、出会うさまざまなものを慈しみながら共に生きることです。それが誰一人として取り残さない、取り残されない平和な世界へとつながることを信じます。そうであればこそ、どうかご自分の基本をしっかり保つことを心に留めていただきたいと願います。

世界の平和が無残に打ち砕かれている昨今の世界情勢をみるにつけ、平和構築に貢献する女性の育成を願われた河井道先生が女子教育にかけた祈りと願いの意義を強く思います。
それを女子高等教育の中に開花させ、「生涯就業力」として実を結ぶことをめざした恵泉女学園大学の学びを身につけられた皆さまのご活躍が、今こそ社会に、世界に求められていくことを信じてやみません。

私たち教職員は、皆さまのこれからのご活躍とお幸せを、いつも、いつまでも心から願い、皆さまを見守らせていただくことをお約束して、本日の式辞とさせていただきます。 学部のご卒業、大学院のご修了、本当におめでとうございます。

当日の模様の一端を写真(アートスタジオ スズキ提供)でご覧ください。