「タイ・カンボジア短期FS」ブログ更新しました。⑤「体験・カレン族の生活 inヒンラートナイ」
2020年02月28日
2月15日にカンボジアからタイに移動し、チェンライにあるwangcomeホテルで一泊した後、翌16日にホームステイに向けてバンに乗ってタイ山地民族であるカレン族が住んでいるヒンラートナイ村へ出発しました。
村に向かう前、タイ、ミャンマー、ラオスの3カ国の国境が接しているゴールデントライアングルを訪れました。ここは黄金の三角地帯とも呼ばれ、メコン川とアック川の合流地点でもあり、数時間で三カ国の国境を越えることができます。私たちはミャンマーに徒歩で入国。国境沿いに住むミャンマーの人々はタイ語を話せるようでした。島国の日本では徒歩で国境を越えることができません。タイとミャンマーのように徒歩ですぐに入国できることは、交流ができるというメリットの一方で、人身売買や麻薬、象牙の密輸など違法な取引もしやすいデメリットもあります。
国境から車で3時間ほど走ったところで、夕方ヒンラートナイ村へ到着。道の途中で、夕日が山々を照らす姿が神秘的でとても美しかったです。到着後、早速2人ずつになって、ホームステイ先の家にお邪魔しました。ここは、WiFiも届かない山奥なので、2日後に街に戻るまで外部と一切連絡ができず、就活をしていた私は少し不安でした。
頂いた夕飯は、タイ米というより日本米に近いやわらかいご飯で、少し塩辛いおかずとぴったり合ってとても美味しかったです。おかずはナス、卵ニンニクなどを炒めてナンプラーで味付けしたもので、食べやすかったです。夜は気温がぐっと下がり、肌寒かったのですが頑張って冷たい水シャワーを浴び、21時前には村人と一緒に床に着きました。
ヒンラートナイ村でのホームステイ2日目、私たちはニワトリの鳴き声で朝早くに目を覚ましました。寝ていた部屋には灯りがなく、外に出てもまだ日の出前なので懐中電灯で辺りを照らさないと歩けないほど真っ暗。気温も上着が欠かせないほどの寒さでした。村人たちはニワトリの鳴き声と共に起き、朝ごはんの準備やニワトリやブタのお世話をすることから一日が始まります。日が昇り始め明るくなったころに家族全員で食卓を囲み、朝ごはんを食べた後、それぞれが学校や畑の仕事に出かけていきます。
今日は、私たちもカレン族が行う循環型農業の畑に一緒に行きます。食後、お茶を飲んでいると、お母さんがご飯をバナナの葉で包んだお弁当を持たせてくれました。村人たちが実践している循環型農業とは、収穫を終えた畑を焼いて、次の年からその土地が自然に再生するまで一定期間休閑させる焼き畑農業です。この村では、それぞれの家庭が複数の畑を所有していて、それを順番に焼いて循環させながら農業を行っているのです。畑に向かう途中には、自生の植物に紛れるようにお茶の木が植えてあったり、蜂の巣箱を木にくくりつけてあるのを目にしました。お茶やハチミツは、自給自足の生活を中心に作物を育てるカレン族にとって、現金収入を得る貴重な産物です。
坂道や沢を超えながら1時間ほど歩き、今は休閑期に入っている畑に到着しました。畑は一般的に想像する平地を耕した畑ではなく、山の急斜面にあって、ナスやバジルなどが植えられていました。山の斜面の畑は作業するのが難しいのですが、そのまま畑として使っているのです。これも、自然を「自分たちが利用しやすいように人間に適応させるのではなく、人間の方から自然に適応するのだ」というカレン族の考え方が反映されています。
斜面の途中にある小屋まで登り、そこで押山先生からカレン族の農業・信仰・儀式についての話を聞きました。話を聞いている間、村人たちは、別の休憩小屋でお昼を用意してくれていたのですが、竹筒でスープをつくり、バナナの葉のお皿にご飯とおかずを盛り付け、竹のコップでお茶を飲むといった感じで、すべて自然のものを借りた贅沢なお昼でした。この後、のんびりと森を散策しながら村に戻り、山から引いた冷たい水で水浴びをしました。浴びるなら、太陽が出ていて、汗をかいた今が絶好の機会です。おかげでとてもさっぱりした気分になりました。これも自然のリズムに合わせる、ということでしょう。そして、たっぷりとある夕飯までの時間。村の子どもと遊んだり、昼寝をしたり、村を散策したり、みな思い思いの仕方で時間を過ごしました。
夜は村人とたき火を囲んでキャンプファイアー。満天の星空の下、ギターの音色をBGMにおしゃべりしたり、卵やマシュマロを焼いて食べたり、ゆったりとした時間を過ごしました。火が小さくなるとともに解散し、それぞれの家に戻り、寝床に着きました。一日だけでしたが、自然に合わせた暮らしを堪能しました。
2月18日、今日は日本に帰国する日です。朝6時に鶏の鳴き声に起こされましたが、朝ごはんはまだできていなかったため、朝ごはんを作っているところを少し見せてもらいました。朝ごはんを食べ、帰り支度を済ませた後、カレン族の宗教リーダーの息子で村で私たちの受け入れをコーディネートしてくれた"タナカ"さんのお家にお邪魔し、カレン族の暮らしについて改めて話を伺い、この3日間過ごした感想をみんなで話し合いました。その間、村人が入れてくれたカレン族のコーヒーを頂いたのですがコーヒーが苦手な私は飲めなかったので残念でしたが、家の中を漂っていたコーヒーの良い香りは、この貴重な体験の締めくくりとして良い思い出として残っています。最後に、村人と一緒に写真をとり、ヒンラートナイ村を後にしました。
タイでのFSは、たったの3日間という短い間でしたが、カレン族の人々の暮らしや考え方に触れ、今の私たちの暮らしに足りないこと、見直すために努力しなければならないことなど、たくさん気づかされ、考えさせられました。そして、この3日間を含め全11日間のFSは、私たちに日本で過ごしていたらなかなか感じることのできない体験をさせてくれました。カンボジアの歴史の闇に触れ、その残酷さや悲惨さを知ると共に、カンボジアの今の教育にも触れ、子どもたちの将来について考えました。タイのヒンラートナイ村の人々からは、自然や虫など、多種多様な生き物と共存し、自分たちのことだけを考えずに、すべての生き物のことを考えるという素晴らしい考え方を学びました。FS中は毎日が慌ただしく、感じたことや学んだことをゆっくり振り返る機会がありませんでしたが、帰国後は春休みを利用して、今回のFSで学んだことを一から振り返ってみようと思います。また、生き方や考え方について学んだだけでなく、学業に活かせる材料をたくさん得ることができました。多様な人々から学び、そこから見えてくる日本や私たち自身の問題や欠点を振り返り、改善のための方法を考える力をもっと磨いていきたいと思います。
(国際社会3年/関口真央、国際社会1年/山崎栞理)