「タイ・カンボジア短期FS」ブログ更新しました。③「子どもの貧困とNGO(JLMM)の活動」
2020年02月25日
2月12日、FSも4日目になりました。カンボジアでは30度を超える暑さが続いています。
この日の午前中はJLMMという施設に訪問しました。ここには近くにある、ゴミ集積場周辺に暮らす人々の生活向上支援のために、母親に仕事を紹介したり、仕事をしている母親のために子供たちを預かる施設があります。JLMMがある地域は比較的貧しい地域とされており、ここで働く人は主に田舎で農業を営んでいた人々が、都会に出稼ぎにきてゴミ拾いの仕事としている人や朝早くから縫製工場で仕事をしている人が多く住んでいます。親世代には、内戦により学校に通えなかったため、読み書きができない人が多くいます。学歴がないため、ゴミ拾いを仕事とするしかなく、その結果貧困に陥ってしまうのです。また、共働きをしていないと生活が困難な家庭が多く、子供たちは親が仕事している間、親戚に預けられるか、放置されてしまっています。こうした様々な要因から、親たちは子どもの教育に興味がなく、子どもを労働力として見てしまうために、学校に通い始めても、途中で簡単に辞めさせられてしまう子が多くいるのです。学校を辞めてしまう理由は学校側にもあり、勉強を教えてくれる先生にあまり教育熱心な人が少なく、子どもたちは学校が楽しくなじくなり家で遊んでいた方がいいと思ってしまうケースがあるそうです。そこでJLMMでは幼児教育に力を入れていて、学校が楽しいと思ってもらえるように、月曜日から金曜日までの午前中にこの施設で子どもたちに学んでもらっています。施設には3つのクラスがあり、鉛筆の持ち方や線の引き方、保健衛生、道徳、クメール語、読み書き、足し引き算などをそれぞれ年齢ごとに分かれたクラスで学んでいます。途中で学校を辞めてしまっても、ある程度勉強が出来るようにするためです。また、子どもたちには栄養改善のために、給食と豆乳も提供しています。
子供たちの教育の他にも、JLMMはお母さんたちの教育にも力を入れています。「お母さんが変われば家族が変わる」をコンセプトに、仕事の提供や、栄養改善セミナー、保健改善セミナーを実施しています。まず、JLMMは母親に仕事を提供することに力を入れています。父親ではなく母親に仕事を提供するのは、父親は稼いだお金で遊びに行ってしまうことが多いからだそうです。提供する仕事には、秋田のババヘラアイスをHappy Iceと改称したアイスの屋台での販売や、ロッティーと呼ばれるタイで人気のクレープ状のお菓子を販売する仕事があります。屋台販売なら学歴も要らず、少量の資金で始めることが出来るからです。頑張れば頑張るほど稼ぐことができ、平均して月200ドルから300ドルを稼ぐことができるそうです。
また、栄養改善セミナーでは、朝ごはんの大切さや、噛むことの大切さ、母乳の大切さ、乳幼児の大切さを教えています。カンボジアには家庭科と保健の授業がないため、栄養について知る人がほとんど居ません。また、塩辛いご飯が多く、お肉は高額で買えないため、タンパク質の摂取が少ないので、糖尿病や血管に疾患を患ってしまう人が多くいます。そこで現在、JLMMでは「おから」に注目をして、おからを使ったレシピを教えています。おからは豆乳の絞りカスからできる、高タンパク、低糖質な食材なので、生活習慣の予防、改善に適しています。一般に、カンボジアではおからを食べれる物だと思われていないので、捨ててしまう人が多いそうです。そのため、日本から専門家をよび、カンボジア人向けにアレンジしたレシピ、例えばおからチャーハンやお好み焼きなどを開発して教えているのです。また、母親向けには、衛生的な生活の大切さを理解してもらう「お母さんセミナー」も設けているそうです。JLMMは子供たちへの教育だけでなく、母親への教育も力をいれています。カンボジアでは、内戦と貧困から健康や衛生について知る機会が乏しかったため、今このようにして学ぶ機会があることは大きな進歩だと思います。
午後、シェイムリアップに移動し、翌日はアンコールワットを見学しました。しばし、勉強から離れ、カンボジア観光を楽しみました。
(国際社会2年/櫻井香里、国際社会1年/佐藤百華)