北海道FS報告② 国内初のアイヌ国立施設「ウポポイ」を訪問

2021年11月25日 

私たち北海道/オーストラリアField Study(FS)クラスでは、Diversity, Reconciliation, Resilience, Spiritualityをキーワードに、北海道のアイヌ民族、オーストラリアの先住民アボリジニにフォーカスを当て勉強を進めています。今回、夏から延期をしていた北海道でのフィールドスタディを10月30日(土)~11月3日(水)にて実施しましたので、その報告を行いたいと思います。今日はFS2日目、10月31日の報告です。

10月31日

私たちは北海道の白老にある「ウポポイ」という施設を訪れました。ウポポイとはアイヌ語で「(大勢で)歌うこと」を意味しています。ここはアイヌ文化の復興・発展の拠点として2020年に開業したナショナルセンターで、国内外から多くの人々が訪れています。展示をはじめ、伝統芸能の上映や体験学習なども行われており、アイヌに関する様々なことを学ぶことができます。
今回のウポポイ見学を通して、アイヌに関してぜひ皆さんに知ってもらいたいと思うことをいくつか紹介します。

(国際社会学科3年C.Y 2年 R.F)

チセ(家)

家に入った時、家の中心にある火が目立ちました。家の中心の囲炉裏の火はいつもついています。囲炉裏の中に住まい、アイヌの暮らしを見守っている火の神であるアペフチカムイであります。火の神様はアイヌにとって最も身近な神ことがわかりました。自分たちの祈りは、火のカムイを通じて他のカムイに伝えられる」というアイヌの考えに基づくがあります。アイヌ人はアペフチカムイ(火の神様)の前で祈りの姿が印象的でした。

挨拶

ウポポイPRキャラクター「トゥレッポん」の隣にある"イランカラプテ"はこんにちはという意味です。この言葉は、北海道の電車の中でも聞けることにびっくりました。この言葉は私が初めて学んだアイヌ語です。またアイヌ語では"さよなら"という言葉がないことがわかりました。別れる場合は、「スイ ウヌカラ アン ロ」という言葉"また、会いましょう"という意味です。アイヌの文化学ぶことができてよかったと思います。

イナウ

イナウとは、主にアイヌの宗教儀礼の執行の際に用いられる祭具のことで、アイヌの人たちは日々の生活や儀式のときにこの「イナウ」に祈ります。皮を取り除いたヤナギやミズキなどの小枝を削り采配のように垂らしているのが特徴的です。ウポポイにも様々なイナウが展示されており、人間の手でこのような繊細な道具が作り出せることに感心しました。実際にイナウが制作されるまでのビデオ作品も視聴しましたが、本当に多くの手間がかけられており、イナウがアイヌの人々にとって欠かせないものであることを実感しました。

本クラスは当初は夏休みにオーストラリアに渡航し、アボリジニに関する学習を行う予定でしたが、新型コロナウイルスの影響により渡航が出来るか定かでないことから、北海道のアイヌ民族とアボリジニの両項目を初めて学ぶこととなりました。もともと9月に北海道に訪問する予定でしたが社会状況からも延期になり、夏休みには実際にアイヌ民族の方からオンラインでお話を聞いたり、英語の文献も含め、アイヌ民族に関する本を読みディスカッションなどを行いました。今回は万全な対策の基に、実際に北海道を訪問し、フィールドスタディの目的でもある「自分の目で見て、肌で感じ考える」学習ができ非常に貴重で有意義な学びの機会となりました。プログラム実施に当たり、現地への移動を許可してくださり、サポートしてくださった先生方、事務の方々、そして引率のDa Silva先生、ありがとうございました。

フィールドスタディについてはこちらです。
フィールドスタディはすべての学科の学生が参加可能です。

また、本学は「国際性」の分野で5年連続首都圏女子大1位の評価をいただいています。欧米やアジアで本学が実施する多彩な海外プログラムに加えて、コロナ禍において実施中の海外とのオンライン・プログラムについてこちらでご覧になれます。