インドネシア短期FS②(第4日〜5日目)

2024年02月26日 

「ジョグジャカルタの世界遺産で宗教について考えた」(2月8日〜9日)

ジョグジャカルタに入って3日目の2月8日と翌9日は、インドネシアの宗教と文化の特徴を世界遺産から学ぶプログラムでした。王宮と2つの世界遺産をイスラム大学の教職員と学生と一緒に訪れました。
2月8日は、王宮とタマンサリ(Tamansari)、そして世界遺産のプランバナン寺院(Prambanan)を訪れました。王宮には歴史博物館もあり、多くの観光客が訪れていました。この王宮にはジョグジャカルタ特別州の知事を兼任する王様が現在も暮らしていて、観光客とは距離を置く日本の皇居とは随分違い、王室を身近に感じられてとても興味深かったです。

タマンサリ

次に訪れたタマンサリ宮殿は英語名称ではwater castleと呼ばれています。1765年に造られたこの場所は、かつての王様と幾人もの妻のための水浴場として使われていました。プール(浴場)は妻たちの交流の場でしたが、時には喧嘩もあったそうです。それをプールを見渡せる場所に作られた部屋から王様は見ていたとのこと。また、タマンサリ裏手には地下通路でつながった小高い丘があり、そこで王様は妻たちとピクニックなどをして過ごしていました。現在は、丘の周辺は迷路のような小道に沿って伝統的なお菓子や衣類などを売る店が並んでいて、独特な雰囲気の観光地になっています。

プランバナン寺院

次に訪れたのはプランバナンです。複数の祠堂からできているこの寺院には中央にヒンドゥーの神々に捧げられた尖塔がひときわ高くそびえ立っています。この寺院は9世紀に建てられました。1991年に世界遺産に登録されたこの寺院の建造にはジョグジャカルタだけでなくバリ島や他の地域からも多数の人が集められたそうです。寺院について人々の間でよく知られているのが、ロロ・ジョングランの伝説です。この寺院は、結婚を拒みたい王女が王様に一晩で千の寺院を造ってと命じたのでつくられたというものです(しかしその後、王女は寺院から東の方角で火を焚いて日の出を装ったとして王の怒りを買い石像にさせられてしまった)。ヒンドゥー教の寺院ですが、装飾には中国文化の影響と思われる模様(ドラゴンのような彫像)もありました。ヒンドゥーの3つの神が分けられて納められている尖塔は、中に入ることができます。しかし、人数は制限されていて、新型コロナの影響もありますが、寺院を保護することにも役立っています。

ボロブドゥール寺院

翌日9日にはボロブドゥール寺院(Borobudur temple)を訪れました。この建物も世界遺産登録されている寺のひとつです。プランバナンはヒンドゥー教寺院でしたが、ボロブドゥールは仏教の寺です。6つの階層になっていて、そこには全部で504体の仏像と2600個の浮き彫り(レリーフ)が飾られています。レリーフには、ブッダの生涯やその教えが彫られていて、とても興味深く面白かったです。

私はこれらの世界遺産を巡って気づいたことがあります。インドネシアは人口の約8割がムスリムで、彼らの日常生活には私たち日本人と違って、お祈りや食べ方などで戒律が多くあり、厳しいものという印象を私は持っていました。しかし、彼らと世界遺産を訪れて、ヒンドゥー教も仏教もインドネシアの人々にとって大事で、馴染み深いものになっているのを見て、考え方が変わりました。イスラム教だけでなく他の宗教も世界遺産という形で守ることで、宗教というものを尊重し、柔軟に接している彼らの姿から、戒律で縛られているというよりも、宗教によって心を豊かにしているように感じて感銘を受けたからです。普段、宗教を意識することのない生活を送る私たち日本人は、どこかで宗教に対してある種の偏見や否定的な考えを持ちがちです。しかし、こうして実際に宗教の下で暮らしている人たちと一緒に行動し、遺跡に足を運び、彼らの振る舞いを自分の目で見て感じたことで、私の中で宗教というものに対する考え方が変化したのです。インドネシアFSに参加して良かったと心から思いました。

(﨑枝菜乃、IS3年生)