恵泉女学園大学

インドの夏を想う

2006年06月19日

 梅雨に入った。今年もこの時期に映画『モンスーン・ウェディング』で学生たちは現代インド事情を学んでいる。映画は多言語世界のリアリティ、伝統とタブー、大家族制度の妙とワザ、加えてインドの音と色と匂いまでを描いてなお尽きない。

 日本とは逆に、雨季(モンスーン)の到来で酷暑の季節が終わるインドだが、今はまだ夏の盛り。連日、気温は45度前後。どんな想像力があればインドの夏を実感できるのかとよく訊かれるが、その「想像力」こそが地域研究のはじまりだ。

 写真は北インドの熱風を閉じこめて20余年が経過したアフガニスタン産のザクロ。昔、デリーのバーザールで求めた時、サイズは優にこの5倍もあった。食べる間もなく乾燥がはじまり、これだけが完璧に「ミイラ化」して、いまだに「世界最強の夏」を刻印し続けている。どこかの博物館が欲しいと言っても譲れないぞと思う。
  それにつけても私は一体どうやってこれをインドからもってきたのだろう。その記憶がすっぽりない。

人文学部文化学科助教授 杉山圭以子
専門: インド近現代史
担当科目:比較文化論、地域研究入門、文化学基礎研究など