恵泉女学園大学

2006年7月

" 熱狂" の時にインドを想う

2006年07月31日

 熱狂ではじまった2006年の世界イベント、サッカー・ワールドカップが熱狂のうちに閉幕した。

 それにつけても、こんな地球規模の大イベントをリアル・タイムに大画面テレビに釘付けになって大勢で観戦できる「普通」にわれわれは今すっかり慣れきっている。しかし、それはやはりはじめから「普通」であったのではない。動画データの圧縮とテレビの高画質化。そんな神業を世界で真っ先に考え抜いて、そこに大きな道をつけたのは実に一インド人研究者である。  

 サリーとカレーだけではない、そんなインドの想像力と底力を覚える「2006年」はどうだろう。

 この度のブログの写真は熱狂とはおよそ無縁のわが家の緑の生きものたち。熱狂もわたしは好きだ。が、水辺に生きるこんな仲間たちも大好きだ。

文化学科助教授 杉山圭以子 
専門:インド近現代史
担当科目:比較文化論、地域研究入門、文化学基礎研究などを担当

カジノから、アメリカ研究へ

2006年07月24日

 アメリカ合衆国・コネチカット州の森の中、フォックスウッズには、全米最大級のカジノなどの娯楽施設群が広がっています。

 実は、これらの施設は、かつてイギリス人入植者によって虐殺の対象となったインディアン(先住民)の一部族、マシェンタケット・ピーコット族が運営するものです。彼らは、その利益などを活用しつつ、全米で有数の博物館や研究施設を運営し、自らの独自の文化の復興に努めています。

 アメリカを作った移民たちの抱いてきたアメリカン・ドリーム。しかし、その夢は、インディアンの犠牲のもとで実現したものでした。そして、現在、低所得や高失業率などに悩むインディアンの部族の多くが、賭博を利用してその復興を模索しているのです。

 一見勉強とは無関係に見えるカジノ施設のような事柄から、その背後に潜む政治的かつ歴史的な意味を探り出す能力を養い、そこから現代アメリカの光と影の双方を学んでもらいたいと考えています。


国際社会学科専任講師 漆畑智靖 
担当科目:国際政治学、国際関係基礎演習(国際政治とアメリカ)など

『ハリー・ポッター』と『ジェイン・エア』の共通点

2006年07月17日

 ハリーも19世紀のイギリス小説の傑作『ジェイン・エア』のジェインも孤児です。何故か?窮地に陥ったとき家族がたちまち助けに来ては、主人公の成長が見えにくいから。

 また、人間誰もが生まれてから死ぬまで抱えて生きる基本的条件のひとつが孤独だからでもあります。という話をしたら「実は私も・・・」という感想が沢山寄せられ、それを聞いてある学生さんが次のような感想を書きました。本人の許可を得て要約して載せます。

      *イギリス文学史の感想より*

 私は今日の皆さんの感想を聞いて、「孤独感を持っているのは私だけではないのだ、皆同じなのだ」と安心しました。私は(孤独感を)日常的に感じる事が多く、特に信頼出来る人たちに囲まれている時に急に「こうして今は楽しく同じ時間を過ごしていても、いずれは別れが訪れるし、明日この人達に会えるという確かな証や約束なんて存在しない」と思い、どんどん気持ちが沈んでしまいます。

  また、独りでいるときより大勢の中にいる時に感じる孤独の方がはるかに重く耐え難いと前から思っています。私は比較的独りでいる時間が好きで、むしろ孤独を恐れて馴れ合い群れる方が耐えられません。今日、先生が「(孤独感は)皆本来持っている感情だ」と言うのを聞いて、「どこか私はおかしいのか」と思っていた心が楽になりました。
     *      *       *
Keep Your Face Towards the Sun: Shadow Is Always Behind.
(太陽の方を向いて生きれば影はいつでもあなたの後。)


英語コミュニケーション学科教授 榎本眞理子
専門: イギリス文学
担当科目: 「イギリス文化研究」「イギリス文化研究演習」「イギリス文学史」「英米文化特別演習」(卒論指導)

写真
上:ハリー・ポッターシリーズ第三巻『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』
中:『ジェイン・エア』DVD
下:7月の恵泉前庭
 

30部の種類の異なる、パンフレット!?

2006年07月10日

 日本語表現の授業では、複数のグループに、種類の異なる恵泉のパンフレットを渡して、「あなたは、○×広告会社の社員です。企画部からパンフレットの原案が出されました。明日、あなたは恵泉に行って、自社のパンフレットが採用されるようなプレゼンテーションを行わなければなりません。」という課題を出して、発表にいそしんでもらっています。

 学生は、配布された資料を検討し、パンフレットの良さを精一杯アピール!自社(?)の未来を背負って、それはそれは、迫真のプレゼンテーションです。

 さて、その授業のまとめ。「発表がうまくできたのは、事前に企画部が作ったパンフレットのおかげかもしれません。では、春学期のレポートは、自分が所属する学科のパンフレットを自分の手で作ってみましょう!!」。「え~っ!!」。(^o^)。

 受験生の皆さん。オープンキャンパスでは、恵泉の学生の手による30部もの、異なる種類のパンフレットをご覧になる機会があればと思います。生の情報が得られるかも。

 本日の一枚。私が、この授業のパンフレットの表紙のサンプルに使った写真です。
来年度、採用されるかな~(^^ゞ。

日本語日本文化学科 専任講師 川井章弘
担当科目:日本語表現 I (音声)

緑の里親制度って?

2006年07月03日

緑の里親制度というのをご存知ですか? これは自治体にかわって、地域住民が'里親'となって、公園や駅前などにある花壇やプランターの維持管理をボランティアで行なう制度のことです。

この制度により、自治体は管理経費を節減することができ、地域住民も地域の美化に貢献することができますが、住民にとっての一番のメリットは、作業を通して地域の人たちと交流することができることだと思います。

恵泉女学園大学でも、2003年度より多摩市の緑の里親として、多摩センター駅前のプランターや花壇の一部の植栽、管理を行なっています。これは園芸関係のゼミの活動の一つとして行なっているのですが、花の手入れをしていると、多くの方が声をかけてくださったり、花に関する質問をしてくださったりします。

ただ道ですれ違っただけでは会話をすることはありえない人と人との間に、植物があることで会話が生まれる。このことを園芸を学ぶ学生に体験してもらうことが、この活動の一番の目的なのです。

そして、卒業後も、各自の居住する地域で豊かな人間関係を築く道具の一つとして園芸を利用してもらえれば、と思っています。

人間環境学科助教授 樋口幸男
担当科目:人と植物の関係学、園芸概論、生活園芸 IIなど

写真1 花の手入れをする樋口ゼミ学生
写真2 花壇に苗を植えている西村ゼミ学生