ブリック・レインで「アジア」を想う
2006年09月11日
イギリスの人口が6000万人を超えたという。近年は欧州連合に加盟した中東欧諸国からの移民の流入も目立っている模様だ。
多様な背景をもつ人々を「そのまま」で受け入れる政策をとるイギリス。これ自体が21世紀地球社会の共生の実験として注視に値する。移民と言えば、イギリスはロンドンのイースト・エンド。ざっと数えても500年、移民と長く切り離せない歴史を刻んできた街だ。その一角に今、インドやバングラデーシュといった南アジアを出自とする人々が織りなすブリック・レインがある(写真はベンガル人商店街。イギリス人が「インド菓子」を求めている)。
近代以降、南アジアと深くつながりをもったイギリスでは「アジア人」と言えば彼らのこと。イギリス全土で、その実数は全エスニック・コミュニティの半数超ともなる。キャロル・リード監督がイースト・エンドのユダヤ人コミュニティで、A Kid for Two Farthingを撮ったのが1950年代。この国の流れ、移動する人々の歴史に今は「アジア」が立ち上がる。
文化学科助教授 杉山圭以子
専門: インド近現代史
担当科目:比較文化論、地域研究入門、文化学基礎研究など
次回のブログは9月19日(火)に掲載します。
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