2007年7月
最近気になったニュース その4
2007年07月30日
「最近気になった出来事」
世の中では常にいろいろな出来事が起こっています。スポーツの世界でも同様で、たとえば私の好きなサッカーでも最近では、U-20世界選手権、アジアカップと立て続けに大きな大会が開催されました。わが日本は、U-20はベスト16でチェコにPKで敗退し、アジアカップはディフェンディングチャンピオンであったにも係わらず、準決勝でサウジアラビアに2-3で負けました。
日本のサッカーは少しずつ技術、戦術共に向上してきていますが、いつもいいところで競り負けてしまいます。
この2つの大会だけを見ても、気づくのは勝敗を分けたのは、気迫、勝利への執着、そして何より集中力の持続だということです。基礎技術は進歩しているものの、その上で必要なことは集中力、そして諦めないという強い思いです。
人生は勝ち負けではありませんが、何事も粘り強く取り組むことが大切なんだな、と改めて感じさせてくれる出来事でした。
人間環境学科 齋藤謁
担当科目:人間形成基礎演習他
最近気になったニュース その3
2007年07月23日
運命は創るもの
台風に地震。天災のニュースに明け暮れた一週間でした。その中にあって、大リーグ、オールスター戦で、MVPの栄冠を獲得し、世界一のプレーヤーに輝いたイチロー選手の活躍は一服の清涼剤になりました。
試合後、「今日は、3本のヒットが出ましたが......」という質問に「出ましたじゃなく、『出しました』。全然違います。」というやりとりがインタビュアーと何回か繰り返されました。そして、球宴史上初のランニングHRについて聞かれると、イチロー選手は「そうなんですか。僕にとっても初めてなんですよね。オールスターで『出る』なんて。」と答えています。
ヒットは意志として「出す」ものだが、結果としてのランニングHRは偶然「出た」ものだと、「意志と成り行き」、「必然と偶然」とを強く意識して、使い分けています。また、それに先立つ一週間ほど前、将棋の世界で、羽生さんより先に「永世名人」を獲得した森内俊之名人の談話も興味深いものがあります。
「(永世名人は羽生さんであるという流れがある中で)、一生懸命やれば、そういう運命的な部分も自分の手で変えられるんだ。」。「名人は『選ばれる』ものではない(奪うものなのだ)。」と答えています。
最近、奇しくも、世界一の栄冠を獲得したお二人の口から、「自分が所属する世界」に対しての心構えが聞けたのは幸いでした。
私達は、毎朝のテレビで、占いや運命的な価値観がまるで天気予報のように垂れ流される世界に生きています。
しかし、人は、自らが、「世界」を変える可能性をもった者であると認識するとき、初めて、自らの置かれた「世界」に対する取り組み方を変えていけるように思います。
受験生の皆さん。成り行きとして流れる人生を、人生を作る主体の側から、世界と関わってみませんか。そのためにも、恵泉のオープンキャンパスに足を運ぶことから始めてみましょうね(^^)。
人文学部 日本語日本文化学科 川井章弘
担当科目:日本語表現 I (音声) 日本語研究 III(日本語教育)他
最近気になったニュース その2
2007年07月16日
久間防衛相の「原爆投下容認」発言を考える
先月(6月)末、久間章生防衛大臣が、アメリカによる広島・長崎への原子爆弾投下について「今しょうがないなと思っている」などと述べて、あたかも原爆投下を容認しているかのような発言をしました。
これに対し世論は強く反発し、結局、久間大臣は辞任に追い込まれました。被爆者の心情を逆なでするこのような発言が許されるはずはありません。実際、日本政府も、唯一の被爆国として「非核三原則」を掲げ、世界の平和にとって脅威となる核兵器の廃絶を目指すという立場をとってきたのです。
しかし、実は、その同じ日本政府が、「同盟国」のアメリカが核兵器で日本を守ってくれているので、日本人は安心して暮らせているのだとも主張してきたということをご存知でしょうか。
その意味では、日本政府は、少なくとも当面の間、アメリカの保有する核兵器はいわば「よい核兵器」であり、平和のために役立つのだとみなしていることになります。
したがって、久間大臣の発言に憤慨した日本国民は、同時に、核兵器を肯定する政府を投票によって選択してきたともいえるのです。今回のニュースを大臣の単なる失言のレベルで捉えるだけでは不十分です。
唯一の被爆国の大臣がきっぱりと原爆投下を非難できないということは、核兵器を全否定できない日本のあいまいな姿を象徴しているのではないでしょうか。
人間社会学部 国際社会学科 漆畑智靖
担当科目 国際政治学、アメリカの外交など
最近気になったニュース その1
2007年07月09日
「こびょうりがく」って知ってた?
年金問題に都心の温泉施設の爆発、大手の事業者や学校の異常経営、そして食肉偽装問題、驚いたり呆れたりのニュースに事欠かない毎日だ。でも、希望を捨てずにいると、こんな感動を教えてもらう社会でもある。
「古病理学」という学問があるそうだ。古代の人々の病気や障害を本物の人骨で研究するのだという。
先日、経済紙の夕刊一面に載ったその囲み記事によると、縄文の昔にさかのぼる北海道の貝塚から出土した「十分な筋肉もついていなかった」二十歳前後の人骨から、その病気がどうやら判ってきたらしい。
門外漢の私には、この当たりの詳しいことはパス。それでも、これを記事にしてくださった都の老人総合研究所の先生に教えられた。
「とても命を永らえることはできなかった」この若者を十数年も手厚く介護していた人々が周囲にいたことまで骨が伝えている、と。
目が熱くなった。私の専門は歴史。文字に残る史料を読む。世の中には、「骨」を読む人がいることを知った。人は死んで骨になって終わり、なのではないとすれば、これはエライことだ!
人文学部 文化学科 准教授 杉山圭以子
担当科目;比較文化論、文化史研究など。専門はインド史。
私の宝物 その5
2007年07月02日
北隆館の「日本昆虫図鑑」「将来は昆虫博士になるぞ!」と、本気で思っていた中学生時代、美しいカラー写真の図鑑が沢山あった中、私はなぜか図書館の棚に鎮座しているこの図鑑にとても心惹かれていました。
虫は写真ではなく、モノクロで描かれていて、説明文も旧字体の難しいものでしたが、絵だからこそ、その虫の特徴がわかりやすく表現されていて、写真よりも本物らしく見えました。それに、その精密画の芸術性も魅力だったのだと思います。
そこで、この図鑑を手に入れようと本屋さんを探したのですが、すでに絶版。そこで私は出版元である北隆館に直接電話をしてみたのです。そして、図鑑のストックがあったら是非譲って欲しいと話すと、途中からなんと社長さんが電話に! この図鑑に対する思いを話してみると、「漢字が古い字体で難しいけど、わかりますか?」との問いに「勉強します!」と答えたことを覚えています。
そして、社長さんは1冊だけ残してあったサンプルを販売当時の価格のまま譲ってくださったのでした。
この図鑑を見て、夢に描いていた美しい虫、珍しい虫たちとは、大学に入ってから沢山出会うことができました。残念ながら昆虫博士にはなれませんでしたが、この図鑑と虫たちとの出会いを通じて身についた自然に対する感性は今の仕事にもきっと役立っていることと思います。
人間環境学科 准教授 樋口幸男
担当科目; 園芸概論、人と植物の関係学など