私の宝物 その5
2007年07月02日
北隆館の「日本昆虫図鑑」「将来は昆虫博士になるぞ!」と、本気で思っていた中学生時代、美しいカラー写真の図鑑が沢山あった中、私はなぜか図書館の棚に鎮座しているこの図鑑にとても心惹かれていました。
虫は写真ではなく、モノクロで描かれていて、説明文も旧字体の難しいものでしたが、絵だからこそ、その虫の特徴がわかりやすく表現されていて、写真よりも本物らしく見えました。それに、その精密画の芸術性も魅力だったのだと思います。
そこで、この図鑑を手に入れようと本屋さんを探したのですが、すでに絶版。そこで私は出版元である北隆館に直接電話をしてみたのです。そして、図鑑のストックがあったら是非譲って欲しいと話すと、途中からなんと社長さんが電話に! この図鑑に対する思いを話してみると、「漢字が古い字体で難しいけど、わかりますか?」との問いに「勉強します!」と答えたことを覚えています。
そして、社長さんは1冊だけ残してあったサンプルを販売当時の価格のまま譲ってくださったのでした。
この図鑑を見て、夢に描いていた美しい虫、珍しい虫たちとは、大学に入ってから沢山出会うことができました。残念ながら昆虫博士にはなれませんでしたが、この図鑑と虫たちとの出会いを通じて身についた自然に対する感性は今の仕事にもきっと役立っていることと思います。
人間環境学科 准教授 樋口幸男
担当科目; 園芸概論、人と植物の関係学など
« 私の宝物 その4 | メインページ | 最近気になったニュース その1 »