夏を歩こう その1
2007年08月06日
学生とブルックリンを歩いた夏昨年の9月4日のレイバー・デイの午前。季節外れの嵐は止んでいた。
私たちはマンハッタンの摩天楼を背にしながら、ブルックリン・ブリッジの木製の歩道を歩いている。
微風が心地よい。午後にブルックリン・ハイツで地下鉄に乗り、イースタン・パークウェイに向かった。
そこで重低音の心臓の鼓動のようなリズムの爆音を全身に浴びた。ハイチ人を満載した大型トラックの山車の上からラップ・ミュージックか何かのシャウトがスコールのように降り注ぐ。訛りのあるフランス語の混じった言葉のようだ。ラテンのリズムが聞こえてくる。
カリブ系の黒人たちは原色のコスチュームを身にまとい、陶酔したかのように踊っている。バルバドス、ハイチ、ジャマイカといった鮮やかな色の国旗を手にした人々とすれ違う。自らの出自と文化を誇る黒い祝祭空間。
ここには場違いな黄色い肌に強い日差しが照りつけている。
学生たちは上半身を時に露にした黒人たちの海を縫うように進んでいった。肌にはじっとりとした汗がにじみ、強い香水と交じり合った体臭や肉汁の焦げた煙が鼻腔に押し入ってくる。
彼女たちははしゃいだり、リズムに合わせて身体を揺らしたりしていたが、段々無口になっていった。今年のニューヨークで学生たちはどんな夏を歩くのだろうか。
写真上:ブルックリン・ブリッジ
写真中:ハイチ人を満載した大型トラックの山車
写真下:ブルックリン・ハイツからマンハッタンの摩天楼を望む
人間社会学部 国際社会学科 漆畑智靖
担当科目:短期フィールドスタディ(アメリカ合衆国)、国際政治学など
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