恵泉女学園大学

2007年9月

秋を食べよう その4

2007年09月24日

「農民が生きるためのコーヒーづくり・フェアトレード」

受験生のみなさん、秋本番です。コーヒー飲みながらの勉強ですか?

さて、そのコーヒー、エチオピアで発見されました。17世紀にヨーロッパで流行したのをきっかけに、当時植民地だったスリランカやジャワでも栽培が始まります。日本では1888年東京に最初の喫茶店「可否茶館」が開店し、全国にカフェーが普及。現在、日本はアメリカドイツについで世界第3位の輸入国です。

私たちは経済のグローバル化と自由貿易の促進のおかげで、安くたくさんコーヒーを飲めるようになりました。しかし、ネスレ、P&Gなど多国籍企業がプランテーションで人件費を抑え、化学肥料を用いて大量生産をおこなうので、国際相場が暴落し、農民たちの貧困化は止まりません。

これに対して、農民たちが海外NGOと協力して共同組合をつくり、有機質堆肥のコーヒーを生産し、NGOが流通・販売を担い、フェアな価格を農民に支払う「フェアトレード」があります。農民の生活を救い、自立を促すことが目的です。

私が好きなのは、このフェアトレードの「東チモールコーヒー」。味が濃くて本当に美味しいんです。独立・復興に励む農民たちがつくっています。

秋の夜長、勉強の合間に世界地図を広げて、コーヒー生産者に思いを馳せてみてくださいね。

人間社会学部 国際社会学科 堀芳枝(FS委員)
担当科目:「平和研究入門」「アジアの民主主義」

秋を食べよう その3

2007年09月18日

「実りの秋-本当の喜びは汗を流して-」

ここ数日の朝夕の爽やかさに、秋の訪れを感じています。

秋は「実りの秋」、畑では春に植えつけたサツマイモやサトイモが大きく生長しています。

やがて、写真1、2のような実りが得られることでしょう。

収穫の対象が土の中に隠れている根菜には、真っ直ぐに伸びた根を利用するダイコン、ニンジン、カブなどの「直根類」と地下茎などが肥大したサツマイモ、サトイモ、ジャガイモなどの「イモ類」があります。

私は、昔からこの根菜を収穫する瞬間が大好きです。何故かというと、根菜を収穫する瞬間は、掘り取るまでその全景が見えないだけに、大人も子供もドキドキわくわく。大きなイモが収穫できたときの心からの喜び、思いっきりの笑顔、そこには、純粋な子供の頃に戻った本当の自分の姿があるのです。

もちろん、苗を植えつければ後は収穫するだけとはなりません。

その間、草取りや追肥、土寄せなどの作業(努力)を積み重ねて、初めて「豊かな実り」を得ることができるのです。

写真3は、収穫したニンジンです。このように立派なニンジンもとれますが、中には見事なプロポーションのニンジンもあり、みんな大喜びです(写真4)。

形はさまざまですが味は保証つきです。普段の地道な努力(額に汗して)が実った収穫物は、だから本当にうれしいのです。

人間も同じです。本当の喜びは、汗を流してこそ得られ、また苦しさのその向こうに待っているのです。



人間環境学科 准教授 藤田智
担当科目;生活園芸 I、園芸文化実践演習 I他

9月17日(月)は休日(敬老の日)につき、18日(火)にアップしました。

秋を食べよう その2

2007年09月10日

『サンマを食べよう』

私は海育ちのせいか、旬の魚が気になります。秋はサンマ、サバ、イワシといった青魚がいちばん脂の乗っておいしい季節です。中でも子供の頃、七輪で焼いたサンマの味を知って以来、秋の食材といえばサンマが浮かびます。

サンマは細くて刀に似ていて、秋に多く捕れるため「秋刀魚」と書かれます。サンマの脂成分などが健康によいことは今ではよく知られていますが、昔から新物サンマは夏バテをいやす栄養補給源として愛されていたようです。

サンマは8月頃までは千島列島の東方に生息し、そこから南下してきます。今年の8月中旬、東京都心の最高気温が37度に達し、関東内陸などでは40度を超えた酷暑の頃、スーパーマーケットには北海道産の新物サンマが並び始めました。地球温暖化のなかでも、私たちに季節感を伝えてくれる魚です。

伝統的な塩焼きのほか、刺身、てんぷら、つけ焼き、マリネ、香草焼きなど、今やレシピは様々です。旬のサンマはしだいにおいしく、安くなっていくのが楽しみなところです。

ヘルシーな秋のサンマは、欧米型の食べ物を口にする機会の多い若者にこそおすすめです。

人間社会学部国際社会学科 坂井 誠(入試部長)
担当科目:「アメリカの経済と社会」、「市場とグローバリゼーション」など

秋を食べよう その1

2007年09月03日

ブドウ

記録的猛暑だった8月も終わり、いくらか過ごしやすくなってきましたね。

さて、今日のテーマ、「ブドウ」ですが、皆さんはブドウの品種をどのくらい知っていますか? 生食だけでなく、ワインとしても利用されるブドウは洋の東西を問わず人々から広く愛されていて、リンゴと並んで品種数の多い果物です。

生食用品種だけをみても、よく売られているデラウェア、巨峰、ピオーネ、甲斐路はご存じの方も多いと思いますが、これらの他にも、高尾、藤稔、ルビー、マスカット・ベリーA、ネオマスカット、マスカットオブアレキサンドリア、ピッテロビアンコ、ロザリオ、オリンピア、バラディーなどなど、このブログではとても紹介しきれないほど多くの品種が作られているのです。

私が専門としている園芸では、花でも野菜でも果物でも、品種単位でものを考えないといけないのですが、果物は野菜と違って品種による見た目や味の違いがわかりやすいので、店頭でも品種名が表示されている場合が多いですよね。
皆さんも是非いろいろな品種の違いを意識してブドウを味わってみてください。多様な品種を生み出す園芸の面白さを感じていただけることと思います。



人間環境学科 准教授 樋口幸男
主な担当科目;園芸概論、人と植物の関係学、園芸と文化