私の書棚 その5
2007年10月29日
「もしも今、東京を大地震が襲ったら」
もしも今、東京を大地震が襲ったら...
雪崩のように落ちてきた本の下で生き埋めになった私を、翌朝誰かが見つけることになるのだろうと、自室の机をぐるりと取り囲む本棚の列を見て考えてしまいます。
研究者という生きものは、多かれ少なかれ似たような部屋に住んでいます。壁を埋め尽くす本、本、本...しかし、それでも足りません。個人が一人で集めることのできる本の量など、たかが知れているのです。そのため、私たち教員にとって「本棚」とは、実は図書館のことなのです。
今は、恵泉大図書館や都立多摩図書館が私の"日本での"本棚です。
その前は、留学先のボローニャの図書館が私の本棚でした。ヨーロッパ最古の歴史を誇る大学ならではの、由緒ある古めかしい建物の中にその図書館はありました(図1)。大きな閲覧室で本を読みながら、眼が疲れてふと顔を上げると、四方の壁を飾る色とりどりのフレスコ画が目に映ります。数百年前に描かれたその壁画をしばしボーっと眺めてから、再び視線を落として本に戻るのです。
また世界中の美術史研究者にとって、フィレンツェの美術史研究所図書館は一種の「聖地」となっています(図2)。西洋美術史の膨大な文献があらかた揃う、私の永遠の"海外での"本棚です。
皆さんも、これぞ「私の本棚」と言えるような、お気に入りの図書館をぜひ見つけてください。
文化学科 准教授 池上英洋
担当科目;文化学基礎研究IV他
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