恵泉女学園大学

2007年11月

学科の学び(国際社会学科)

2007年11月26日

国際社会学科の魅力 フィールドスタディの日記から

今年の夏も、6名の学生を引率して、フィールドスタディー(ヨーロッパの宗教と音楽)でドイツとオランダに行ってきました。
スタディー中につけていた日記から様子を紹介します。

9月×日
大都市ベルリンの郊外、湖畔の別荘地、ヴァンゼーに来ました。

今なお当時のままのたたずまいのこの屋敷(写真1)で、65年前、当時のドイツの15人の閣僚とナチの将校が、全ヨーロッパのユダヤ人の強制移送と最終処分(殺害)を決定しました。

史上最悪といわれる虐殺行為の決定が、このような美しい場所で決定されたこと・・現場でしか体験できない複雑な思いにとらわれます。

9月×日
ベルリンの北端、ナチスが政権を取った1933年に建てられた収容所で、その後、ナチスが崩壊する1945年までドイツの領土にあまた建設された強制収容所のモデルとなったザクセンハウゼン強制収容所跡。
人体実験所、ガス室、死体焼却炉、多くが当時のままに保存されています。

ナチスに存在価値がないと判断されたユダヤ人、共産主義者、同性愛者、心身障害者らがここで死に至るまで労働力を搾取された。

収容所の敷地は、ナチ好みのトライアングル(写真2)。南端の保養地ヴァンゼーは、その頂点。北端のザクセンハウゼンは、その底辺です。

「格差社会」の行き着く先は、このような非人間的社会であることを、胸に刻みました。

国際社会学科で、ぜひ、一緒に学びましょう。そして、世界をフィールドに、豊かな知性と人間性を培っていきましょう。お待ちしています!

国際社会学科 教授 川島堅二
担当授業科目:「キリスト教学入門」、「宗教現象学」

写真1:ヴァンゼー会議の行われた邸宅
写真2:ザクセンハウゼン強制収容所の案内図

学科の学び(文化学科)

2007年11月19日

文化学科は、人間学的想像力=文化力を培う、恵泉の「境界」地帯!

イスタンブール、香港、ニューヨーク、メキシコシティー、長崎、浅草・・・こうした「境界性」に富んだところが、私は好きだ。

いずれも、東西の、南北の、あるいは新旧(大陸)、あるいは古今の文化が混交し、一種、コスモポリタン的な生活様式と境界性があるからだ。

恵泉の「コスモポリタンで自由な文化混交の境界地帯」,それが「文化学科」である。

いま、私たちは、かぎりなく境界線の曖昧な時代に生きている。わたしたちが、自分が、いったい「何ものであるか」にかかわる、いく層にも被覆する人間の帰属カテゴリーともいうべき従来の分類区分に疑問符がつけられ、その境界線に根本的なゆらぎが生じている。

たとえば、国家や民族、宗教や文化といった生物学的基礎をもたない仕分けから、人種や性(男女)などの生物学的基礎をもつとされてきた分類、さらに時間軸で考えれば、生命の始まりと終わりをめぐる生/死の仕切りや、ついにはクローン技術の進歩とともに「人間」という存在の輪郭そのものまでが問われている。

そして、「遠く」の戦争が「近く」の平和を支え、「かつて」の進歩が「いま」の破壊を産み落とす。ひととモノと情報が、これまでの人間の自由・不自由さを作り出して来た様々な分類カテゴリーの壁を侵食しながら移動と接触をはかっている。

こうしたあらゆる境界が喪われていく人類未経験の時代状況は、ときに大いなる不安と刹那的な無力感を与えるが、じつは「遠く」と「近く」、「かつて」と「いま」との思いがけない結びつきから、今までにない私たち人間の可能性が開かれる好機でもある。

いまこそ、私たちの人間学的想像力=文化力がためされる時であり、その文化力なくして私たちがこの時代を生き抜くことは難しい。

こんな世界大の問いと私たちひとりひとりの生きる方法とをつなぐのは、私たちのふだんの暮らしとそれをあらためて確認する思想の仕事であり、「文化学科」はそのための人間学的想像力=文化力を培うレッスンの場である。

境界喪失の時代ゆえに、(逆説的だが)今、さまざまな知の領域においても「境界論」が有効な方法(視座)として発見されつつある。この「境界論」のまなざしを体現したのが「文化学科」なのである。

文化学科では、歴史、哲学・思想、宗教、芸術、文学、園芸といった人間文化の諸領域をそれぞれ専門分野としながら、東アジア、南アジア、アメリカ、ラテンアメリカ、ヨーロッパといった得意な専門地域を異にする教員による「文化の境界」を考える多彩な専門科目群が用意されている。

それらの科目を「旅」することで、「文化の境界」上に身を置き、そこから物事を多角的・多層的に見つめるまなざし、しなやかな人間学的想像力=文化力を身につけることになる。

2年前から文化学科が発行している学科パンフレットをご覧になられただろうか。表紙のタイトルは、一年目が「きる」、二年目が「わたる」である。はじめて見る人は皆「なんだ?これ」と思うようだが、そこには文化学科のコンセプトが体現されている。

表象を実体的現実と取り違え、流動的なプロセスである文化を実体化・空間化してしまう(たとえば「日本人」「東洋文化」「女性」「一神教」「家族」といった)「名詞の方法」が、カテゴリーの境界線に囲まれた不自由な世界のとらえ方を生み、私たちの生きる方法を妨げるのであれば、それらをほぐすやり方として「動詞」による仕分けで、流動的な「境界」上から人間文化を眺めてみようとした試みである。

この「知の越境」の旅には、言葉も必須である。そのために文化学科では、英語以外に第二外国語の習得も重視しており、さまざまな海外語学&文化研修プログラムが用意されている。すでに「イタリア語学文化研修旅行」や「韓国語学文化研修旅行」は実施されており、来年度に向けて「スペイン語学南米文化研修旅行」も現在準備中である。

文化学科 教授 笹尾典代 
担当科目:「宗教学」「比較宗教論」「文化領域研究(宗教文化)」他


写真:「比較宗教論」学外授業でのイスラム寺院(東京ジャーミー)訪問

学科の学び(英語コミュニケーション学科)

2007年11月12日

In Keisen’s Department of English Communication, the goal of our classes is of course to improve your ability to communicate in English. To communicate well in English, you need three things: the ability to communicate, the desire to communicate, and something to communicate about.

THE ABILITY TO COMMUNICATE: In the EC Department, you don’t study English?you learn it. After studying English in junior high and high school, you don’t have to do that again?now you should learn how to use it. In your first year at Keisen, the curriculum includes:

Eigo I      study skills required for university education
Eigo II     common points between the input skills (listening and reading)
Eigo III    common points between the output skills (speaking and writing)
Eigo IV    critical and logical thinking skills

THE DESIRE TO COMMUNICATE: Many of our classes are content-based. Instead of studying English for entrance examinations, you will be studying practical English for communicating about the course content. You will have chances to think about these topics, discuss them with your classmates, research them more deeply, and give presentations about them.

SOMETHING TO COMMUNICATE ABOUT: We teach courses on Gender Issues, Understanding Cultural Differences, American Culture, Media Literacy, Popular Music, Western Art History, Western Literature, and Western Humor. You will study these topics and develop opinions about them, then speak and write about them in class and for homework.

Our curriculum combines skills (the ability to speak, listen, read, write, and think in English), motivation (willingness to learn and the desire to express yourself), and content (timely and stimulating topics). For some students, the next step is becoming teachers themselves: we also offer teacher training and English Language Teaching for Young Learners.


英語コミュニケーション学科 准教授 Theodore Quock
担当科目;コミュニケーション実践III他

学科の学び(日本語日本文化学科)

2007年11月05日

「〈日本〉のスペシャリストになろう」

私たちが暮らしている〈日本〉のことばや〈日本〉の文化について深く学び、考えていく、それが恵泉の日本語日本文化学科です。

「日本語」「日本文学・文芸創作」「文化史」に分かれ、日本語学、日本語教育、古典文学、近現代文学、歴史、政治思想史、美術史、メディア史など、専門を異にする教員による多彩な専門科目が用意されています。

この学科では、国語教員と日本語教員のふたつの資格を取ることができます。国語の先生になる卒業生もだんだん増えてきました。日本語教員の資格を取るために勉強している学生は、ちょうど今、タイで学外実習中です。これからは、世界の各地で卒業生たちが日本語を教える時代になるでしょう。

文芸創作やルポルタージュを書くゼミもあり、出版・マスコミを目指す学生たちのニーズにも応えられるようになっています。

ゼミ旅行も盛んです。近現代文学のゼミでは、宮沢賢治の生地を訪ねて東北旅行をしました。古典文学のゼミと、私の美術史のゼミでは、ちょうど同じ時期に京都に行きます。
(詳しくは私のブログhttp://blog.livedoor.jp/mariko1961/をご覧ください)。

このように、日本語日本文化学科は、〈日本〉のスペシャリストを養成する学科なのです。

人文学部 日本語日本文化学科 稲本万里子
担当科目;日本美術史I、日本文化史研究II(美術)他

写真:ゼミ旅行(京都・風俗博物館にて)