恵泉女学園大学

春の息吹・気配 その4

2008年02月25日

「2月のソーセージ」

どんなによく知っている場所でも、訪ねる季節が違えば、印象や空気も違って感じるものだ。そして、その発見に驚いたり、喜んだり、少し感傷的になったりもする。

私はフランスのコルシカ島という島の地域文化の成り立ちに興味があって、調べ始めてから17年ぐらいになる。険しい山と青い海に囲まれた春にはハーブの香がただよう美しい島だ。

今は調査を兼ねて友人の家族に会うのを楽しみに通っている。大学の授業が無い時期に行くので決まって8月末から9月上旬に行くことが多い。そうすると、いつも難破船をすくった「ミラクル」の御利益がある教会に行ったり、海の幸を食べに行くことになる。

たまたま、2年前に2月にコルシカへ行く機会があった。すると、友人の家族は、せっかく2月に来たのだからと、暖炉で焼いたソーセージと栗の粉で作ったマッシュポテトのようなつけあわせをご馳走してくれた。

コルシカのレストランには名物として年間通してコルシカのハム類がメニューに載っている。しかし、実はハムやソーセージにはそれぞれ食べ頃の旬があるとこのとき初めて知った。旬は野菜や魚だけではなかったのだ。

もうすぐ卒業式。新しい生活が4月から始まる。一度も話したことの無かった同級生や先生と話してみたり、小学校や中学校の卒業記念で作ったものを見てみると、新しい何かが見えてくるかもしれない。

春は今までのこわばった考えの殻を脱ぎ捨てる季節なのだ。

国際社会学科 准教授 定松文
担当科目;国際関係基礎演習V(国際社会とヨーロッパ)他