恵泉女学園大学

2008年3月27日

別れと出会い その4

2008年03月27日

「別れと出会い~旅立ち~」

先日高校時代の友人に会った。

思えば何十年も前の3月、仲良しの彼女と別れ別れとなった。旅立ちという歩み始めと共に。その後お互いいろいろな経験を積み、少しずつ変化している。それでも何度となく「久々に会う」ことを続けている。会わない期間が長かった後には新たなお互いの発見があったことを今思い出す。それもまた違った意味の「出会い」で、喜びでもあった。

あの時点での別れがあったから、こうした意義深い出会いができるのではないかと思う。

3月は別れの季節である。それは4月以降の新たな出会いの準備を期せずしてしている時でもある。そんな時期に咲く花の香りや色合い、風景などが別れという人生の大きな一つの情緒的体験とつながって思い出されることがよくある。気持ちと感覚器官を通して得られる記憶が実は深く関連しており、それは心理学で証明されているのである。

あの花の香りがするとふと彼女に会いたくなる。なんだか不思議。そして彼女と会うと変化した自分と出会えたりもする。つまりべったり一緒にいなくてもいいのである。それぞれが自分の道を歩いていれば、それでいい。人は人生の中でそうした関係をいくつか作ってゆく。そのことで助けられ助けてゆく。

人にとっての財産は人なんだな、と改めて思う。

人間環境学科 准教授 齋藤謁
担当科目;人間形成基礎演習他