2008年6月
梅雨 その5
2008年06月30日
「雨の日の過ごし方」雨の日は何となく憂鬱です。暗いし、濡れるし、傘を余計に持たないといけないし。正直あまり好きではありません。雨の日に何か特別なことをしているのかな、とあらためて思い返してみると、晴れている日よりもよく外を眺めていることに気づきました。何を見ているでもなく、ただ何となく眺めていることが多い気がします。
私は研究室の窓から見える外の眺めが好きです。窓枠が部屋とほぼ同じ大きさなので、視界がとても広く感じます。今の季節は緑がとてもきれいです。授業から戻り外を眺めることもよくあるのですが、雨の日はその時間が少し長い気がします。
雨を眺めていると何となく心地よい。雨の規則的なようで不規則な断続的なリズムが、とりとめもなくいつまでも続きます。音と景色が連動して、ときにズレて、不思議な感覚です。ジャーッと勢いよく降る雨。サァーッと細かいシャワーのような雨。フワーッと霧のような雨。そして、フラーッと風に任せて横に流されている雨。
日々の雑多なことから少し解放される、そんな時間の過ごし方です。
人間環境学科 講師 喜田安哲
担当科目:人間形成基礎演習、統計学
梅雨 その4
2008年06月23日
「夏になったら」Summer is a very exciting time for an adolescent because there is much to enjoy but mainly because school is out! When I was a youngster, I remember the many sensations I experienced during the summertime. Here are some of my childhood memories:
1. Sound: the sound of cicadas, mosquitoes buzzing around my head, the whirring of the electric fan, the rustling of bamboo leaves, wind chimes, “omatsuri drums” in the distance, the slapping of slippers
2. Taste: ice shave with sweet beans and condensed milk, watermelon, slurping cool buckwheat noodles, chewing orange flavored bubble gum, “karupisu” in the afternoon.3. Smell: burnt “hanabi” sparkles, the smell of “tatami” mats, open-air barbecue, “katorisenko”, the scent of a fan unfolding, boiled “edamame” on the table, opening a “bento” box.
4. Sight: exploding fireworks, kids running away from ocean waves, sand castles at the beach, Yomiuri Giants baseball games, evening festivals in the neighborhood.
5. Touch: mosquito bites, perspiration down my back, ice cold “ramune” bottle against my cheek, the hot sun on my shoulders, the gentle breeze in the evening after a bath.
英語コミュニケーション学科 准教授 R.Ken Fujioka
担当科目:コミュニケーション実践VIII他
梅雨 その3
2008年06月16日
「梅雨に咲く ~アジサイ~」梅雨の花と聞いて、皆さんがまず最初に思い浮かべるのは、やはりアジサイではないでしょうか。雨にあたると多くの花は花弁が痛んでしまいますが、アジサイの花弁は痛むことなく、梅雨の間ずっと、私たちを楽しませてくれます。
アジサイにはとても多くの品種があり、日本はもちろんのこと、世界中の人々に愛されていますが、それは、江戸時代、シーボルトが日本のアジサイをヨーロッパに紹介したことが契機となって、ヨーロッパで品種改良が熱心に行われたからなのです。シーボルトもアジサイをとても気に入っていたのでしょう、彼の著書「フローラ・ヤポニカ」の中で、大輪のアジサイのことを、彼の日本人の奥さんであった「おたき」の名前をとって、「オタクサ」という名前で紹介しています。私も梅雨は好きではありませんが、この時期に咲くアジサイ、中でも北米原産のカシワバアジサイは大好きな植物の一つです。我が家ではこの時期、何十もの花房が一斉に開花し、小さな庭を少しだけゴージャスに見せてくれています。
人間環境学科 准教授 樋口幸男
担当科目:園芸概論、人と植物の関係学他
梅雨 その2
2008年06月09日
「傘、この永遠なる道具」うちのゼミに自称「超おばあちゃん子」がいる。先日、どんな話をするのか聞いてみると「『フキ、食べな』とか言うんです」とのこと。ほとんど即答。きっと板ずりなどしてアクを抜き、丁寧に調理されたフキだったにちがいない。即答の妙に、旬の味でむすばれた二人の確かな絆を感じた。
ところで、フキは日本の原産。北から南まで自生している。庭先で育つ程度のおとなしいものから、北斎が漫画に描いた人の背丈ほどもある秋田フキまで種類は多い。おもしろいなと思うのは、その姿。基本は葉(笠)と茎(柄)という「パーツ仕立て」で、そのまま延長すれば傘となる!今どきは、軽量傘に500円ビニール傘、ワンタッチ傘や楽しいファッション傘といろいろあるが、傘もフキ同様、至極かたちは基本に忠実だ。
しかも「ここ一番」、どれもその基本で勝負するところがいい。子供の頃よく食べ、親しく遊んだ巨大な秋田フキの「雨傘」。玩具としての破格のサイズに、夢もついでにみせてもらった。いよいよ梅雨本番。フキとも傘とも無縁な猫たちが、かわいい肉球をまわしながら顔を熱心に洗う季節でもある。この顔洗い、梅雨の湿気でヒゲがべたつくから、らしい。長雨は憂鬱だが、お気に入りの傘を眺めながら、猫の不思議といっしょに、永遠のかたちを楽しむ余裕なども忘れたくはないものだ。
写真上:ようこそ、マイ傘パビリオンへ
写真下:わが家のシャリンバイ、もうすぐ出番を紫陽花に渡します。
文化学科 准教授 杉山圭以子
担当科目:比較文化論、文化史研究など。専門はインド史
梅雨 その1
2008年06月02日
「雨に想う」私は雷雨や台風が苦手です。自然のパワーに対して畏敬の念をいだく、古代人の気質を受け継いでいるからかもしれません。
雨は時には災いをもたらしますが、私は「慈雨」という言葉が大好きです。慈雨は「ほどよくうるおいをもたらす雨」で、干天(ひでりの空)の慈雨という表現を、皆さんも聞いたことがあるかもしれません。慈しみの雨は植物や土壌にはもちろん、人間や建物など人工物にも一息つく機会を与えるように感じます。
連日の雨はうっとうしい、大雨はいやだなど、我々はえてしてわがままです。しかし、物事や自然現象には多様な顔があります。雨が水道や電力ばかりでなく、地下水の源になっていることは、よく知られています。地球全体として見ると、年平均降水量と年平均蒸発量は約740mmでほぼ同じです。降水が蒸発を補い、地球上の水量が安定的に維持されていることになります。また、地下水年齢が驚くほど長い地域もあり、東京湾岸(深度200~2000m)では約3千年ないし4万年近くで、オーストラリアの大讃井盆地のそれは最大、百万年以上だそうです。
現代の我々は今だけではなく、太古の雨の恵みにも支えられているようです。
(数値の出所は『2007データブック・オブ・ザ・ワールド』、二宮書店)
国際社会学科 教授 坂井 誠(入試部長)
担当科目:「アメリカの経済と社会」、「市場とグローバリゼーション」など