梅雨 その1
2008年06月02日
「雨に想う」私は雷雨や台風が苦手です。自然のパワーに対して畏敬の念をいだく、古代人の気質を受け継いでいるからかもしれません。
雨は時には災いをもたらしますが、私は「慈雨」という言葉が大好きです。慈雨は「ほどよくうるおいをもたらす雨」で、干天(ひでりの空)の慈雨という表現を、皆さんも聞いたことがあるかもしれません。慈しみの雨は植物や土壌にはもちろん、人間や建物など人工物にも一息つく機会を与えるように感じます。
連日の雨はうっとうしい、大雨はいやだなど、我々はえてしてわがままです。しかし、物事や自然現象には多様な顔があります。雨が水道や電力ばかりでなく、地下水の源になっていることは、よく知られています。地球全体として見ると、年平均降水量と年平均蒸発量は約740mmでほぼ同じです。降水が蒸発を補い、地球上の水量が安定的に維持されていることになります。また、地下水年齢が驚くほど長い地域もあり、東京湾岸(深度200~2000m)では約3千年ないし4万年近くで、オーストラリアの大讃井盆地のそれは最大、百万年以上だそうです。
現代の我々は今だけではなく、太古の雨の恵みにも支えられているようです。
(数値の出所は『2007データブック・オブ・ザ・ワールド』、二宮書店)
国際社会学科 教授 坂井 誠(入試部長)
担当科目:「アメリカの経済と社会」、「市場とグローバリゼーション」など
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