恵泉女学園大学

入試担当教員の紹介 その5

2008年08月04日

「自己紹介 - アメリカと私」

私は典型的なバブル世代に属します。

1980年代後半、ソニーがコロンビア映画、三菱地所がロックフェラーセンターをそれぞれ買収し、敗戦国日本が経済的にアメリカを追い越したなどという論評すら出てくるような浮ついた雰囲気の日本で、私は学生時代を過ごしていたのです。隔世の感がありますが、当時の私の印象では、アメリカとは、日本産業の激しい追い上げを一因とする製造業の不振や貿易・財政赤字に苦しむ一方で、追撃する日本を理不尽に非難する国に見えました。

1990年7月、いわゆる冷戦終結宣言の翌年、イラクによるクウェート侵攻数日前に私ははじめて渡米しました。アメリカの労働者が日本車を派手に破壊するパフォーマンスの映像が鮮明に脳裏に刻まれていた私にとっては、アメリカはいわば「敵地」という時代錯誤的な気分だったのですが、中西部の田舎町の大学寮生活という社会から隔離された小世界で私が発見したものは、アメリカにも「いいやつと嫌なやつがいる」という単純な事実でした。

現在、アメリカの政治・外交や国際政治を教えています。私が時にアメリカ外交にうんざりしながらも、「アメリカなるもの」に知的関心を持ち続けている本当の理由は、案外、アメリカで出会った人々との忘れ難い個人的な記憶があるからだけなのかもしれません。

国際社会学科 専任講師 漆畑智靖
担当科目:国際政治学、アメリカの政治・外交