2008年8月18日
入試担当教員の紹介 その7
2008年08月18日
「自己紹介 - 研究者として」大学院生の頃、英語もろくに喋れないまま北米の神経科学会に参加した。実は海外渡航も初めてで、ただ勢いに任せて指導教授について行った。
日本の学会はせいぜい3日ぐらいだが、この学会は1週間も開催される。しかもポスター会場はジャンボ機が入ると思えるほど広いコンベンションセンターである。一人のボードは畳一畳程度で、午前と午後で張り替えられる。どれだけの数の研究発表があるか想像できるだろうか。私もそんな会場の片隅にポスターを掲示した。「どうせ日本の院生レベルの研究なんて誰も聞きに来ないだろう」と高をくくっていたが、次々に参加者が質問に来る。しかも、どの人も私の片言英語を真剣に聞いてくれる。見渡せば会場中が人で溢れ、どこもかしこもディスカッションをしている。あまりの熱気に鳥肌の立つ思いをしながら必死に喋った。
ホテルへの帰路は、これまでに使ったことのない頭の疲労を感じながらフラフラだった。しかし何という発表の数だろう。ただ圧倒されてしまった。ここに最先端の脳研究をしている世界中の学者たちが毎年集い、発表している。いったいどれだけの研究をいつまで続ければ脳は解明されるのだろう。そんなことを考えながらも、そのような研究者の中の一人でいられることがとても幸で、嬉しい気持ちになった。
あのときの興奮が、私の研究者としての礎である。
人間環境学科 講師 喜田安哲
担当科目:人間形成基礎演習、統計学