2008年10月
芸術の秋 その3
2008年10月27日
「カリヨンを聴こう!」
木の葉が色とりどりに彩られ、キャンパスは日に日に秋色につつまれてきました。澄みわたる秋空の日には、自然に外出したくなりますね。芸術の秋、皆さんはどのような芸術に出会っていますか?私が初めて行った海外はオランダでしたが、そこで素敵なコンサートに出会いました。ヨーロッパでは、一般家庭に時計が普及するようになる19世紀までは、教会の鐘楼から鳴り渡る鐘の音が時を告げるものでした。大きな鐘をスウィングさせて鳴らす方法が一般的でしたが、16世紀頃よりオランダやベルギーでは、2オクターヴ以上の鐘がワイヤーで演奏台に繋がれ、カリヨネアと呼ばれる演奏者によって曲を奏でるカリヨンが発達しました。
カリヨンの演奏台には足鍵盤もあり、一見パイプオルガンの演奏台のようにも見えますが、手鍵盤は拳でたたきます。カリヨン学校を卒業したカリヨネアによって、様々な音楽が演奏されますが、高くそびえる鐘楼から街中に奏でられるカリヨンの音を、教会の周りのテラスカフェで、お茶を飲みながらゆったりと聴くのがオランダのカリヨンコンサート。私たちのキャンパスに5月に設置されたカリヨンには演奏台はなく、電動式自動演奏されるものですが、一日4回その音が可憐に奏でられています。
11月8・9日の多摩フェスティバルではカリヨンコンサートも行われますので、お気に入りの場所を見つけて、ゆったりとカリヨンの音に耳を傾けてみませんか。
キリスト教センター 専任講師(キリスト教音楽主任) 関本恵美子
芸術の秋 その2
2008年10月20日
「美術館・博物館に行こう」秋と言えば、芸術の秋。個人的には食欲の秋だったりしますが、日本美術史が専門の私としましては、今回は美術館や博物館でおこなわれている秋の特別展の情報を少々お届けします。
美術館や博物館では、春と秋が展覧会のシーズンです。なぜかと言うと、気候がいいので作品のコンディションが悪くならない、集客が見込める、などの理由からです。
今年は『源氏物語』千年紀ということで、関西では『源氏物語』関連のイベントが目白押しです。関東では、さほどの盛りあがりはないものの、千年紀絡みの展覧会を紹介するとしたら、横浜美術館で開催中の「源氏物語の1000年―あこがれの王朝ロマン―」があげられるでしょう。現代に至るまで、『源氏物語』がどのように描き継がれてきたのか、鑑賞してみてください。11月3日まで。千年紀絡みではないものの、日本美術関係の展覧会と言えば、東京国立博物館で開催中の「大琳派展―継承と変奏―」でしょう。こちらは尾形光琳生誕350周年を記念しての大展覧会で、本阿弥光悦・俵屋宗達・尾形光琳・尾形乾山・酒井抱一・鈴木其一の6人の作品から、「琳派」と呼ばれる流派を見渡そうとするものです。
琳派の技法や表現がどのように受け継がれ、どのように変容していったのか、鑑賞してください。11月16日まで。
展覧会の見方については、長くなりますので、入学後に日本美術史の授業を履修してくださいね。
横浜美術館HP「源氏物語の1000年―あこがれの王朝ロマン―」
http://genji1000.jp/
東京国立博物館HP「大琳派展―継承と変奏―」
http://www.tnm.jp/jp/servlet/Con?pageId=A01&processId=02&event_id=5705
日本語日本文化学科 教授 稲本万里子
担当科目:日本美術史 I II他
芸術の秋 その1
2008年10月13日
「中世ヨーロッパの『10月』」
中世ヨーロッパでは、「時禱書」というものがさかんに作られました。これは数時間おきにささげる祈りの言葉などを記したものですが、一種のカレンダーのような機能を持つタイプのものもありました。豪華な本になると、月ごとに美しい挿図が付けられています。当時、人々は何月に何をしていたのか、私たちはそれらの挿図を通して知ることができます。ランブール兄弟によって制作された、有名な『ベリー侯のいとも豪華なる時禱書』(シャンティイ、コンデ美術館蔵)の「10月」を見てみましょう(図)。いかにもカレンダーらしく、最上部には星座や月齢表などが付けられています。画面中央には、この本の注文主であるベリー侯が住む、美しいお城が描かれています。その下では、農民たちが畑を耕し、種をまいています。
この時期に種をまくということは、これは「冬麦」です。冬麦は、春に収穫の時期を迎えます。その後はしばらく畑を休ませないといけませんが、先に休ませていた隣の畑では、今度は春に「春麦」の種をまき、夏に収穫することになります。畑を三つのゾーンに分けて、お互いの休耕期間をずらしながら二種類の麦を順繰りに育てていく方法です。
こうすれば一年中食物が手に入り、しかも別種の麦なので、同一伝染病で同時に凶作になる危険がありません。13世紀に定着したこの「三圃農法」のおかげで、ヨーロッパの人口は急増しました。この絵は15世紀初頭に描かれたものですから、当然のように二期作をおこなっています。おおがかりな農機具を用いた耕作の光景は、「私の領民は皆幸せだろう」と自慢したい領主ベリー侯の気持ちを映し出しているのでしょう。
秋は、春の収穫のために種をまく季節。学生の皆さんは、冬麦の種をまくかわりに、秋のこの時期に、本を沢山読んだり、映画や展覧会を観にいったりすることで、教養や知識の種を自分にまかれてはいかがでしょう。そうすれば来るべき春は、かならずや豊かな実りの季節となるはずです。
文化学科 准教授 池上英洋
担当科目:文化学基礎研究IV(キリスト教徒と美術)他
研修プログラム その4
2008年10月06日
「日本語教育実習」
この時期、恵泉の日本語教員養成コースは、国内の日本語教育機関での教育実習(研修)を手始めに、12月にはタイ、パヤップ大学で2週間の教育実習を行います。

実習生たちはこの研修を経て、自己のコミュニケーション能力を強化し、言語的弱者の気持ちを理解するような感性を育て、社会へ巣立つ準備に入っていきます。
秋風を背に 恵泉の若きつばくろめ 飛び立ちつ。
日本語日本文化学科 准教授 川井章弘
担当科目:日本語基礎購読II(日本語)他