恵泉女学園大学

スポーツの秋 その1

2008年11月10日

「十種競技(デカスロン:decathlon)」

十種競技という種目をご存じだろうか。

陸上競技の種目なのだが、名前の通り十個の種目で構成されている。二日間にわたって行われ、一日目に100m走、走り幅跳び、砲丸投げ、走り高跳び、400m走を行い、二日目に110mハードル走、円盤投げ、棒高跳び、槍投げ、1500m走を行う。各種目の記録を換算表で得点化し、その合計得点で競う。私は大学時代、この十種競技をやっていた。

一日目。100m、幅跳び、砲丸投げまでは、わりと滞りなく進むことが多いが、幅跳びで3回ファールをして記録を残せないこともある。痛恨の得点0である。走り高跳びは、得意な選手では2mを越える。私の場合、身長を越えるのがやっとだった。400mは、記録を狙い最初から飛ばす。すると、最後の直線で面白いように脚が止まる。もがいてゴールしたあとは「尻割れ」を起こして倒れ込む。ここでしっかりクールダウンしないと、翌日のハードルでまったく足が動かない。

二日目。下手くそな私は、ハードルを越えるたびに抜き足をぶつけていた。次の円盤投げへは、内出血で腫れた足を引きずって向かうことになる。円盤投げは、3回ファールで得点なしということもある。慎重にも大胆に行かなければならない。続く棒高跳びは、踏み切り足の位置が合わないとうまく跳び上がることができない。無理に突っ込んで、落下してしまうこともある。

槍投げを終えて、最終種目1500m。出走前の緊張感はたまらない。「これで終わる!」という開放感と、「この苦しみを越えなければ」という重たい雰囲気が選手全員を包み込む。9種目までの疲れで重たくなった脚を只ひたすらに動かしてゴールへと向かう。ゴールに着くと、先に走り終えた選手たちが「お疲れっ!」と出迎えてくれる。安堵の瞬間である。共に二日間をやり通した選手たちが、互いに肩を叩いて健闘をたたえ合う。これがいつもの光景なのだ。

人間環境学科 専任講師 喜田安哲
担当科目:人間形成基礎演習、統計学他