恵泉女学園大学

スポーツの秋 その3

2008年11月24日

「苦しさと爽快感と」

学校の「体育」にはなじめなかった私ですが、三十代の一時期、ふとしたことからボクシングジムに通い始め、試合にまで出た思い出があります。そのころのことを思うと、苦しいトレーニングや減量、怪我の痛みと同時に、1日の練習を終えた時の不思議な爽快感がよみがえってきます。汗をぼたぼた落としながら疲れ果ててリングを出ようとする時、なぜか身体の内側からシャワーを浴びたような気分がわき起こり、よし、明日も練習に来ようという思いをかき立てられたものでした。

今年の9月、北京の大学院に集中講義に行き、授業の合間にパラリンピックを観戦することができました。「ゴールボール」という目の不自由な方の球技に、私もよく知る本学の卒業生、高田朋枝さんが出場していたのです。コートの中を機敏に動いて活躍するその姿、試合終了後の充実感に充ちた笑顔を見ながら、私は、彼女が、練習の苦しさと爽快感の間を、何万回行き来しながらここまでたどり着いたのだろうと、思いをめぐらせました。

年齢をいいわけに背中を丸めがちな今年の晩秋ですが、高田さんの姿に思いをはせつつ、少しだけ北風の中に出てみようかな、と思っているところです。

日本語日本文化学科 准教授 篠崎美生子
担当科目:日本語基礎演習IV(文学)