2009年2月
私の座右の銘 その4
2009年02月23日
'ホットなハート、クールなブレイン' ~私にとっての自然体~'ホットなハート、クールなブレイン'という言葉は大学卒業時にある先生が私たちに贈ってくれた言葉です。「熱い情熱と冷静な判断力を持って充実した人生を!」というメッセージだったのでしょうが、この言葉を思い出し、自分なりに意味を理解できたのは、モータースポーツに夢中になり、サーキットを走りまわっていた、ちょうど30歳の時のことです。
一周40秒ほどの小さなサーキットで、同車種のレコードタイムまであとコンマ何秒というところでタイムが伸び悩んでいたある時、「タイムは気にせず、リラックスして車の挙動を正確にコントロールすることに集中しよう」、そう思って走ってみたのです。すると、今までにないくらい車の挙動がゆっくりとしたものに感じられ、景色もゆっくりと流れていくように思えました。あまりにゆっくりと感じられてので、タイムはさぞかし遅いのだろうと思いましたが、意外なことに、目標にしていたタイムを出せていたのです。
それまでは、速く走りたいという思いだけが先走りして、車の挙動を冷静にコントロールするという、速く走る上で最も大切なことをおろそかにしていたのですね。
それを契機にこんなことを思うようになりました。自然体という言葉があるけど、熱い情熱と冷静な判断力が調和した状態を自然体って言うんだな。そして、その二つをより高い次元で調和させられたとき、人はより高い壁を越えることができるんだな、と。
以来、常に'自然体'でいることを心がけるようにしています。なかなか難しいことですが(笑)
人間環境学科 准教授 樋口幸男
担当科目 園芸概論、人と植物の関係学他
私の座右の銘 その3
2009年02月16日
「世のため、人のため」先日、卒業論文の口述試験がありました。学生たちには「よく頑張ってくれた」と思いつつ、「やれやれ」とひと息ついたところです。
心理学領域の卒論発表は「ポスター発表形式」で行っています。発表者は自分の論文のポスターの前に立ち、ポスターを見に来た人たちの質問に常に応じて答えなければなりません。学生たちは、聞きに来た下級生や同級生たちに自分が考えて行った実験を自分の言葉で丁寧に語っていました。
心理学ゼミの卒業論文は「実験論文」です。テーマを決めて仮説を立て、実験方法を考えて実行し、結果をまとめ、結論を導きます。このような思考・実行の過程を重ねて卒業論文を仕上げていきます。考えてみれば、この段階に至るまでに4年の歳月がかかったわけです。
心理系の授業では、常に学生たちをレポート漬けにしてきました。学生たちは「ヒーヒー」言いながらも必至についてきてくれました。そしてようやく卒業研究に取りかかれる段階になるのです。卒論は、友達に頼らず一人でプランを立てて実験を実行しなければなりません。大変な作業です。論文提出間近には、学生同士で分析方法などを教え合いながらがんばっていました。この過程を経ることで、ようやく「大人に」なれるのだと思います。それはまさに「世のため、人のため」に尽くせる人間になる、ということなのだと思うのです。そのためには考えて実行する力が要求されます。問題は何なのか、そのために何をするのか。データにもとづいて状況を判断する、自分の役割を果たす、我慢してじっと耐える。諸々の力を身につけなければなりません。
今年もいろいろな学生がいました。孤独な戦いに休みがちになる学生、私の説明がうまく伝わらない学生など。それでも最後にはきちんと発表までこぎ着けた。たいしたものだと感心しました。彼女たちの底力を感じました。
勉強は自分を磨くことであり、それは「世のため、人のため」につながるのだと信じています。受験生の皆さん。今頃は大学合格のために必死に追い込み勉強をしていることだと思います。ここで身につけた底力は必ず「世のため、人のため」になりますよ。期待しています!
人間環境学科 講師 喜田安哲
担当科目:人間形成基礎演習、統計学
私の座右の銘 その2
2009年02月09日
「継続は力なり」私は中学高校時代を全寮制の学校で過ごしました。家に帰るのは夏休みや冬休みだけだったので、家よりも学校で過ごした時間の方が遥かに長かった日々でした。朝は7時起床、ラジオ体操、行進をしてから朝食、礼拝、授業という規律正しい生活でした。入学当初はその生活に慣れるのに少し苦労した覚えがありますが、6年間もそのような生活をしたため、今でも自然と規則正しい生活をしています。逆に不規則になると調子が狂うので、元に戻そうという作用が働きます。今思うと、あの頃の毎日の小さな努力の積み重ねが力になっていると感じています。
私の趣味のひとつに「釣り」があります。15年ほど前から本格的に始めましたが、釣りに行くたびに「多く釣りたい!」と思って色々なことを考えます。継続すると色々なことが見えてきて、「何が大切なのか?」ということが段々と見えてきてスキルアップしていきます。物事を継続していくということは、同時に「経験」が蓄積されるということです。この経験こそが、何物にも変えがたい「力」になっていくのだと思います。
高校生の皆さんにもそのような経験があるのではないでしょうか。学校での勉強だけでなく、部活や趣味も継続して経験を蓄積していくと、きっと今後の大きな力になると思います。「続ける」ということを意識して物事に取り組まれることをお勧めします。
宇田川 篤(入試広報室長)
写真上:中高時代の寮の一室
写真下:力強く堰堤をジャンプして遡上する鮎(5月初旬)
私の座右の銘 その1
2009年02月02日
「恐れそのものを恐れよ」未曾有の不況など試練を迎えるなかで、アメリカのオバマ新大統領は1月20日の就任演説で「恐れよりも希望」を強調するなど、国民を勇気づける言葉を残しました。
今回は1930年代の大恐慌期に登場した伝説的な大統領、フランクリン・D・ローズヴェルトが33年に初めての大統領就任演説で述べた「恐れそのものを恐れよ」という言葉を、座右の銘として紹介したいと思います。この言葉の意図は、絶望に満ちた時期であるからこそ皆が希望を持ち続けることが大切であることに言及したもので、今回のオバマ演説にも通じるところがあります。
私の研究分野である経済は、実は人間の心理の影響を強く受ける特徴があります。適度な楽観は経済の成長や活動においてばかりでなく、我々の生活の中でもとても重要な事柄です。極度の悲観や絶望は、何も生みません。皆さんも何か心配や辛いことがあったときに、「恐れ心を恐れよ」という言葉を思い出してみてください。私は小心で心配性であるがゆえに、この言葉を大切にしたいと思っています。
そして、私がしばしば卒業生などに贈る得意のフレーズは、「諦めない。決めつけない。」という、やはり悲観を廃する言葉です。
人間社会学部 国際社会学科 教授 坂井 誠(入試部長)
担当科目:「アメリカの経済と社会」、「国際経済論」など