恵泉女学園大学

私の座右の銘 その3

2009年02月16日

「世のため、人のため」

先日、卒業論文の口述試験がありました。学生たちには「よく頑張ってくれた」と思いつつ、「やれやれ」とひと息ついたところです。

心理学領域の卒論発表は「ポスター発表形式」で行っています。発表者は自分の論文のポスターの前に立ち、ポスターを見に来た人たちの質問に常に応じて答えなければなりません。学生たちは、聞きに来た下級生や同級生たちに自分が考えて行った実験を自分の言葉で丁寧に語っていました。

心理学ゼミの卒業論文は「実験論文」です。テーマを決めて仮説を立て、実験方法を考えて実行し、結果をまとめ、結論を導きます。このような思考・実行の過程を重ねて卒業論文を仕上げていきます。考えてみれば、この段階に至るまでに4年の歳月がかかったわけです。

心理系の授業では、常に学生たちをレポート漬けにしてきました。学生たちは「ヒーヒー」言いながらも必至についてきてくれました。そしてようやく卒業研究に取りかかれる段階になるのです。卒論は、友達に頼らず一人でプランを立てて実験を実行しなければなりません。大変な作業です。論文提出間近には、学生同士で分析方法などを教え合いながらがんばっていました。この過程を経ることで、ようやく「大人に」なれるのだと思います。それはまさに「世のため、人のため」に尽くせる人間になる、ということなのだと思うのです。そのためには考えて実行する力が要求されます。問題は何なのか、そのために何をするのか。データにもとづいて状況を判断する、自分の役割を果たす、我慢してじっと耐える。諸々の力を身につけなければなりません。

今年もいろいろな学生がいました。孤独な戦いに休みがちになる学生、私の説明がうまく伝わらない学生など。それでも最後にはきちんと発表までこぎ着けた。たいしたものだと感心しました。彼女たちの底力を感じました。

勉強は自分を磨くことであり、それは「世のため、人のため」につながるのだと信じています。受験生の皆さん。今頃は大学合格のために必死に追い込み勉強をしていることだと思います。ここで身につけた底力は必ず「世のため、人のため」になりますよ。期待しています!

人間環境学科 講師 喜田安哲
担当科目:人間形成基礎演習、統計学