恵泉女学園大学

2009年3月

私のお気に入りの映画 その5

2009年03月30日

「オバマ大統領誕生で思い出したアメリカ映画」

今年の1月、バラク・オバマがアメリカ大統領に就任しました。黒人奴隷制の歴史を持つアメリカで「はじめての黒人大統領」の誕生です。

ところで、オバマが「黒人」とはいっても、ケニア出身の黒人移民男性とカンザス州出身の白人女性の間に生まれたことはご存知ですか。実は、信じがたいことに、彼の両親がハワイで結婚した1961年、まだアメリカ本土の多くの州で、異人種間結婚が法的に禁止されていました。全米でこうした結婚が合法化されるのは67年でごく最近のことです。愛する者同士が肌の色による差別で結婚できないのですから、いかにアメリカの黒人差別が厳しかったか、また中でも異人種間結婚がいかに「タブー」であったかということに改めて驚かされます。

アメリカの映画に『ジャングル・フィーバー』という映画があります。スパイク・リーという黒人監督が約20年弱前に製作したこの野心的な映画は、NYを舞台に、下層階級のイタリア系女性と妻を持つ成功した黒人男性の間の不倫を描きます。
この映画を見ると、通常、個人の趣味の問題と片付けられがちな異人種間の色恋沙汰がいかに黒人差別などの権力関係によって影響を受けているのか、考えされられます。オバマ大統領が誕生したいま、私にとって、もう一度、見てみたい映画の1つです。

国際社会学科 講師 漆畑智靖
担当科目:アメリカの政治、国際政治学

写真:ブルックリンブリッジ:映画の舞台となったNYのブルックリンとマンハッタンをつなぐ

私のお気に入りの映画 その4

2009年03月23日

「もう一つの『おめでとう』、 2009年米アカデミー賞!」

まだ風は冷たいですが、春の木々の花芽が確かに芽吹いてきました。さて、深刻な世界同時不況に迷走するこの国の政治、と身近には盛り上がるものがないこの頃、日本列島を米アカデミー賞の大きなニュースが駆け抜けました。邦画二作品のW受賞という快挙に、勇気づけられた人たちは少なくはないでしょう。

無理もありません。アメリカ映画芸術科学アカデミーの折り紙付きとなったのですから。ところで、今年はもう一つ、これらの二作品とならんで破格の受賞作品がありました。「スラムドッグ$ミリオネア」です。この一作品に作品賞、監督賞、主題歌賞、作曲賞、録音賞、脚色賞、編集賞、撮影賞、計八冠の折り紙がつきました。

原作は現役のインド人外交官が書いたQandA(2005年)。スラムで人生がはじまった少年が、そのおいたちのなかで獲得したものを武器に、結果的にはクイズ番組を勝ち上がっていくお話です。この原作の世界がなかなかに面白く、ゼミで取り上げたのが2年前。オスカーの折り紙がついたあとでは、皆が作品に殺到しますが、世の中が静かな時に、このキャンパスにこの世界を届けられたことをうれしく思います。

スラムといえば、条件反射のように「悲惨」や「格差」の話になりがちです。それは外から「ながめる」まなざしがつくるもの。そこにも生きる側からの発想があることを原作は気付かせます。映画は見事な国際合作で、しかも全編の3分の1はヒンディー語(恵泉で学べます)での仕上がりのよう。日本での一般劇場公開はこの4月からです。

※写真:わが家に咲いた春の力づよい花芽群です。

文化学科 准教授 杉山圭以子
担当科目:比較文化論、文化史研究など。専門はインド史

私のお気に入りの映画 その3

2009年03月16日

「となりのトトロ」

ここ数年、かかさず観ているジブリの映画。さらにDVDが発売されると必ず購入しています。

そんな大好きなジブリの作品の中でも、一番のお気に入りは「となりのトトロ」
時代設定は「テレビのなかった時代」。サツキ(小6)とメイ(4歳)の姉妹が田舎に引越して来るところから物語が始まります。
この田舎での生活の中で、二人は不思議な生き物に出会います。
まず、何にでも興味いっぱいのメイは、庭でヘンな生き物(中トトロと小トトロ)を見つけ着いて行った先で、お昼寝中の大きなトトロに出会います。
メイの話を聞いてサツキもトトロに会いたくてしょうがありません。
いよいよ、トトロに会うときがやってきました。
雨降りの夜、バス停でサツキはそのトトロに出会います。
眠くなったメイをおんぶして、お父さんの帰りを待っていると・・・。
なんと、ずぶ濡れのトトロが、横に立っているのです。サツキは持っていた傘をトトロに貸してあげます・・・すると

そこから不思議な体験が始まります。私の一番大好きなシーンです。
この続きはぜひDVDをご覧ください
二人の「見たい」、「会いたい」と思う気持ちが、よく伝わってきます。
常に興味をもって「見よう」「知ろう」という気持ちが大切だと教えてくれた映画です。

4月からの大学生活、いろんなことに興味を持ってチャレンジしてくださいね。

長岡 有美(入試広報室)

私のお気に入りの映画 その2

2009年03月09日

“Always- san-chome no yuuhi”

One of my favorite movies to watch is “Always- san chome no yuuhi” for two reasons: I am reminded of my childhood days in Tokyo and that the 1950s and 60s brought a sense of anticipation to the community. When I was a young boy, I remember being woken up every morning to the full view of Tokyo Tower and all of its grandeur from my bedroom window, and so it is with “Always”. The construction of Tokyo Tower is the story’s “centerpiece” and provides hope for the new generation.

As the audience witnesses the tower taking form, they root for the dreams of each neighbor in “san chome”: a down-on-his-luck story writer, an aspiring small shop mechanic, a snack house hostess-turned dancer, an orphaned boy looking for his missing mother, a homesick country girl adjusting to city life, and a doctor in search of his family. Not everything goes well: the hostess disappears mysteriously and the boy’s real mother abandons him. Despite these setbacks they never lose hope; like the young boy who keeps on losing in the “kuji” game, he never gives up because there’s always the possibility that he will triumph some day.

英語コミュニケーション学科 准教授 R.Ken Fujioka
担当科目:英語表現基礎演習I(英語コミュニケーション論)他

私のお気に入りの映画 その1

2009年03月02日

「アマデウス」

米・アカデミー外国語賞に「つみきのいえ」、「おくりびと」決定の報が入る。快挙である。殊に、「おくりびと」は、文化によって、全く異なる葬送儀礼を扱っている点で大変興味深い。個別的な日本の葬送を具象的に描くことで、逆に人間の死・家族愛といった普遍性を獲得したことが、今回のアカデミー賞につながったのだと思う。

これと似た経験は、我が映画人生にも該てはまる。映画のマイベストチョイスは、「アマデウス」('84年、アカデミー賞8部門受賞)である。

......とある収監施設。すでに昔日の宮廷音楽家の面影なき老人「サリエリ」。一人の若き神父がそこに訪れるシーンから映画の幕が開く。
独身を守り、音楽に人生の全てを捧げる若きサリエリ。比類なき楽才を有するが、享楽的な人生を歩むモーツアルト。サリエリの口から、夭折の天才モーツアルトの死の理由が、語られ始める。

「神の声」とも表現される楽曲の完成度、譜面に起こした時点が「完成譜」というモーツアルトの才能。宮廷音楽家としての自分の評価を脅かしかねないモーツアルトの存在。残酷なまでの才能の彼我の差。世俗的評価と、嫉妬。信仰のゆらぎ。
荘厳なレクイエムをバックに物語は、欲求5段階説(注1)をなぞるように、人間の存在にかかわるきわめて普遍的なテーマを奏でていく。

この映画、サリエリが神の声を聴く、口述筆記の場面は圧巻。雰囲気をちょっと味わいたい方は、レクイエム ニ短調 K.626の7番と8番のサンプルをお聞きいただきたい。
http://www.hmv.co.jp/product/detail/883307

本学では、オルガニストの関本先生から、直接、「チャペルでひくパイプオルガン」の指導を受けることができますよ。
http://www.keisen.ac.jp/univ/session/c3.htm                        

注1 マズロー欲求5段階説 ......こちらは、ウィキペディアをひいてみてください。
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%87%AA%E5%B7%B1%E5%AE%9F%E7%8F%BE%E7%90%86%E8%AB%96

日本語日本文化学科 准教授 川井章弘
担当科目:担当科目:日本語研究III(日本語教育)他