2009年3月30日
私のお気に入りの映画 その5
2009年03月30日
「オバマ大統領誕生で思い出したアメリカ映画」今年の1月、バラク・オバマがアメリカ大統領に就任しました。黒人奴隷制の歴史を持つアメリカで「はじめての黒人大統領」の誕生です。
ところで、オバマが「黒人」とはいっても、ケニア出身の黒人移民男性とカンザス州出身の白人女性の間に生まれたことはご存知ですか。実は、信じがたいことに、彼の両親がハワイで結婚した1961年、まだアメリカ本土の多くの州で、異人種間結婚が法的に禁止されていました。全米でこうした結婚が合法化されるのは67年でごく最近のことです。愛する者同士が肌の色による差別で結婚できないのですから、いかにアメリカの黒人差別が厳しかったか、また中でも異人種間結婚がいかに「タブー」であったかということに改めて驚かされます。
アメリカの映画に『ジャングル・フィーバー』という映画があります。スパイク・リーという黒人監督が約20年弱前に製作したこの野心的な映画は、NYを舞台に、下層階級のイタリア系女性と妻を持つ成功した黒人男性の間の不倫を描きます。
この映画を見ると、通常、個人の趣味の問題と片付けられがちな異人種間の色恋沙汰がいかに黒人差別などの権力関係によって影響を受けているのか、考えされられます。オバマ大統領が誕生したいま、私にとって、もう一度、見てみたい映画の1つです。
国際社会学科 講師 漆畑智靖
担当科目:アメリカの政治、国際政治学
写真:ブルックリンブリッジ:映画の舞台となったNYのブルックリンとマンハッタンをつなぐ