恵泉の入試の特徴 その3
2009年05月18日
「大学のカラー」
大学にはカラーがあるからである。とりわけ、こぢんまりした学校では、カラーが薄められないでいることも多い。恵泉女学園大学もそうした大学の一つである。そして大学のカラーは、校舎のデザインやカリキュラムだけでなく、入試問題にも反映する。これは作問者の個性とは別の話である。
さて、ここで、07年度以降の国語問題を見てみよう。まず目に付くのは、環境系の文章が頻出していることである。国際的な資源開発が環境を破壊してきた現実にふれた文章(07年)、人間中心主義の環境保護運動への疑問を表明した文章
(07、08年)、色彩が都市環境に及ぼす影響を論じた文章(09年)などである。
エコバスを最初に導入した私立大学ならではの出題傾向と言えよう。
言葉の文化的背景を論じた文章も多い。昨年度は、翻訳文が社会的差別を是認している現状を問題視した文章や、「風流」「気疲れ」といった独特な表現の裏に固有の文化の存在を指摘する文章が用いられている。文化系学部としてスタートした大学の歴史を感じさせる。
国際平和の主張も大学のカラーと無縁ではない。原爆孤児の回想(07年)は、国語の問題文という以前に、読む者に平和の尊さを訴えかけてくる。
文化学科 准教授 高濱俊幸
担当科目:文化史基礎研究(欧米の歴史)
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