KEISEN Campus News by Teachers
教職員が恵泉にまつわる様々なことを紹介します。
大学と高校との違い その3
2009年07月21日
「ゼミでの学び」私の大学時代、「大学ってやっぱり高校と違うなあ、大学の勉強はこういうものなのか」と実感した場は、いわゆるゼミ(演習)でした。
通常、ゼミは10名前後から15名くらいの少人数クラスで、恵泉の場合、2年から始まります(1年次に、教養基礎演習という大学入門ゼミがありますが)。担当者がレジュメを発表し、学生同士でディスカッションを行い、教員がコメントをするというのが平均的なゼミの姿だと思いますが、これほどまで徹底した少人数の参加型の授業は高校には普通ありえません。ゼミが終わったあとの飲み会で同期とゼミの延長戦を行い、本気で議論をしたあの経験はいまでも本当に楽しい思い出です。
しかし、楽しいだけではありませんでした。私は国際政治学のゼミに参加したのですが、この分野について何でも知っている指導教授の前で発表するのですから、その緊張たるや、すさまじいものがあり、それこそ日本語表現の一字一句まで、質問されたら答えられるように準備をしなければならないという精神的重圧で、胃が痛くなることもありました。
私の経験した恩師のあのゼミは、現在、教員となった私自身にとって、いまだ至ることのできないはるかに遠い目標にとどまってしまっていますが、私はゼミという場所で、恩師に1つの学問分野を徹底的に究めるということの厳しさを教えていただくことで、大学で学ぶ学問の何たるかを知ったのだと思います。
国際社会学科 専任講師 漆畑智靖
担当科目:国際政治学、アメリカの政治・外交
大学と高校との違い その2
2009年07月13日
「~自分でつくる・自分をつくる~」
しかし、高校に入ると、住んでいる地域が少し遠くても、気の合う仲間とつるんだり遊びに行くことの方が多いのではないでしょうか。
さて、大学は、それを一歩進めて、興味や思考傾向を同じくする人の集まりです。
この頃の仲間や教師との交流は、「世界」を見る見方、人生を左右する「自分」の根幹の部分を形成します。また、高校までは「学習指導要領」というものがあり、これこれこういう内容を教えなさいと細かく指定されますが大学ではそれがない。自分の人生を豊かにすると思われる科目を、基本的には自分で構成し、時間割りを組んでいくことになります。
「自己改造計画」とでも言えるようなプログラミングが可能なのです。
その意味で、高校までは、共通知識の枠組みがあり、互いの変化が類推できるのに対し、大学からの変化は、自らも予想しえない大きな変化となります。
さてさて、教科書のない「世界」と「人生」にどう向き合うか。それは自身をどう変えていきたいかと連動した「知」の営みです。
日本語日本文化学科 准教授 川井章弘
担当科目:日本語研究III(日本語教育)他
大学と高校との違い その1
2009年07月06日
「学問に対する姿勢」
一番の大きな違いは学ぶ人の学問に対する姿勢だと思います。大学は高校と同じで学問(勉強)をする場です。しかし教わる場ではないのです。大学は自分で自分の目指す目的に向かって、学問を習得、追求していく場です。
そして大学は安住の地ではありません。大学に入学すると、多くの人は4年後の卒業を目指して、社会に巣立つための自分を作り始めます。だから大学に入学する以前に、自分の生き方、生きていく目的について、結論は出さなくても良いから、考えておいてほしいと思います。大学に入学してからそれらを考えることも可能です、しかし4年間という社会に出るまでの期間を、可能な限り内容の濃い充実したものにするためには、私はそれなりの準備をして欲しいと思っています。恵泉女学園大学は、自然に恵まれた花いっぱいの静かなキャンパスで、学生それぞれの目的に合わせた少人数教育を行っています。
そこで4年を過ごした卒業生は、卒業式で創立以来受け継がれてきたランターンより一人ずつ自分のキャンドルに火を受け、創立者 河井道訳詞の『ひかりよ』の歌に送られて、社会に巣立っていくのです。
ひかりよ
ひかりよ やみをさらせ まひるのうちに 住ませたまえ
まことよ わが目をあけ 聖き道を しめしたまえ
さかえよ ながよろこび 賤が身にも うつしたまえ
いのちよ 世をきよめて ながものとぞ ならせたまえ
ああ愛よ わが身をすて 友のために 生かしたまえ
この歌詞にあるとおり、恵泉女学園大学は社会のために働く、多くの人材を輩出しています。
法人本部 事務局長 金子博
恵泉のAO入試について その5
2009年06月29日
「人間環境学科のAO入試」人間環境学科は、心理学、園芸学、環境学の3領域から構成されています。本来はそれぞれが独自の研究領域ですから「どうしてこの3つが一緒に構成されているの?」と思われることでしょう。そう思った方、この学科の名称をもう一度よく見てください。"人間環境"学科なのです。私たちは"人垣(ひとがき)"をいかに形成することができるのかについて探求しています。
考えてみれば、今の世の中はまさに「人間環境」が崩壊していると思われることばかりです。皆さんも思いつくことがあるでしょう。例えば、環境問題は人垣が崩壊した結果ではないでしょうか。そこに解決の糸口を探ることができるのです(環境学)。子育てや地域の人々との交流は、まさに"人垣"そのものです(人間形成)。そして、お花や野菜は人垣つくりに大変有効です(園芸学)。しかし、人の認識のし方について学ばなければ人に働きかけることなどできるはずもありません(心理学)。私たちは皆さんに「人間環境」を積極的につくっていくことができる人になって欲しい。つまり、「信頼」を得る人になって欲しいのです。
AO入試では、あなたが何に関心を持って、どうして恵泉の人間環境をAOで受けにきたのかについて具体的に聞きます。「いろいろ学べる」「広く学べる」という答えは具体的ではありません。自らの経験に裏打ちされたあなたの声を聞かせてください。何に関心を持ち、それに対してあなたがどんなことをしているか(してきたのか)。そして恵泉で何ができるようになりたいのか。それは、あなたにしか答えられない答えのはずです。
人間環境学科 講師 喜田安哲
担当科目:人間形成基礎演習、統計学
恵泉のAO入試について その4
2009年06月22日
国際社会学科の「国際協力NGO志望AO入試」大学で国際協力や国際平和を専門に勉強し、将来、関連するNGOなどで働いてみたいという受験生を対象に行われる国際社会学科独自の入試、それが「国際協力NGO志望AO入試」です。
受験生に求められることは、以下の三点です。
(1)明確な問題意識
自分はどのような国や地域の、どのような問題に関心があるのか、具体的に述べることが求められます。高校時代にボランティア活動や海外留学経験があれば、その経験に基づいて問題意識を述べると説得力があります。また、そのような国や地域では、すでに様々な取り組みが行われているはずですから、そのような取り組みを具体的に紹介するとともに、それについて評価できる点や問題点を述べることができれば、さらによいでしょう。
(2)国際社会学科のカリキュラムへの理解
自分の問題意識や関心を国際社会学科のカリキュラムの中でどのように深め、広げていけるのか、具体的な科目名や、指導を受けたい教授の名を上げて説明できること。
(3)熱意と高い志
最後に、面接では恵泉での学びに対する熱意と意気込みを示すこと。オープンキャンパスに繰り返し足を運んで、模擬授業に参加したり、国際社会学科の先生方に質問したりして自分を積極的にピーアールすることもいいでしょう。
国際社会学科 教授 川島堅二(学科主任)
担当科目:キリスト教学入門、宗教学