恵泉ディクショナリー

サンタフェ歴史文化学科

[さんたふぇ]  Santa Fe

サンタフェとは

アメリカ合衆国、ニューメキシコ州の州都。先住民プエブロ、ラコタの地。スペインの征服とメキシコ領を経て、アメリカ合衆国がメキシコ戦争で獲得した。
「ニュー」の名の裏には幾重にも翻弄された歴史と文化がある。

この地は都市文明にアメリカが疲れた時、人々に避難所を提供してきた。9.11のテロ直後もニューヨーク・タイムズはこの地をテロの悪夢に無縁の地として思いをはせた記事を掲載している。

サンタフェ近郊タオスで孤高の活動をつづけたジョージア・オキーフの近年のリバイバルもこの地の魅力と無縁ではない。オキーフといえば、大きな花や花弁を描き、女性性のレッテルを貼られ、抵抗した画家として、また写真家アルフレッド・スティーグリッツに自身のヌードを撮らせたことでも知られる。しかしオキーフは名声を獲得したニューヨークを逃れ、荒野、砂漠、「不毛」の地とされるこの地に移り住んで多くの作品を残した。

たとえば、砂漠で拾った牛の頭蓋骨を大きく中心に描いた作品の数々。先住民文化の滅亡、砂漠の過酷さ、死の不吉さの象徴であったものを、生命力を感じさせるまでによみがえらせた。ヨーロッパやニューヨークにはない、大地を描こうとした画家。「不毛」の中に再生を描いた画家。しかし、よくみると背景の赤、白、青はまるでアメリカ国旗のようだ(1931年、[赤・白・青]メトロポリタン美術館蔵)。「豊かな」この地の文化の表現と抽象画の可能性に、一人砂漠で臨んだオキーフへのあこがれと、そこにあるとてつもないアメリカらしさに今、再びアメリカの人々が引かれている。

[赤・白・青]

2010年08月02日 筆者: 杉山 恵子  筆者プロフィール(教員紹介)

サ行