小規模であるが、韓国社会で一番影響力のある大学
韓国の大学の中で規模は小さいけれど、一番影響力のある大学を一つ選ぶなら躊躇なく聖公会大学。聖公会大学は 「NGO大学」とも呼ばれるほど、学外の多くの市民団体と密接なネットワークを形成しているユニークな大学であります。
聖公会大学(Sungkonghoe University)は朝鮮が日本の植民地時代であった1914年4月、聖ミカエル神学院として開校して、 1981年に4年制の神学校を設立、1994年に聖公会大学へ校名を変更して今日に至っています。教訓は「開き、分かち合い、捧げる」。 2011年現在、全学生数は約 2500人で、ソウルの西北部地域に位置している男女共学の大学であります。
聖公会大学が韓国社会で注目を引き始めたのは1987年6月。韓国社会でまだ軍事独裁政権が維持されていた時代、軍事政権の退陣及び社会の民主化を訴える市民らによる「6月民衆大抗争」が起きますが、その発祥地であったのが、聖公会大学。平和と人権を大事にしてきた大学の創立理念が軍事政権の下でも実現されていました。
90年代、民主化された韓国社会は権威的な軍事社会から開放的な市民社会へと変貌して行きます。その時代、聖公会大学は韓国初の NGO大学院を設立して、新しい民主化時代をリードしていく市民社会の人材養成と政策研究を目指してきました。また、韓国市民社会の長い民主化運動の記録や資料を集める「民主資料館」、生協または女性団体との共同で開設する大学院「市民社会専門コース」など、大学のなかに様々な特別施設やコースを設け、市民社会の再構築のための大学教育の理念を実践してきました。
現在聖公会大学は、毎年、アジア各国の市民団体の推薦を受けたNGO関係者約10人を受け入れ、MAINS という「アジア非政府機構指導者育成課程」(大学院・修士課程)を開設し、国境を超えてアジア市民社会とのネットワーク形成にも力を入れています。
本学とは 2008年大学間協定を結び、 大学院交流や韓国語短期語学研修の現地実施、そして、2012年からは両大学で学生の短期(6ヶ月)留学制度が実施されるなど毎年交流が深まっています。
文:李泳采(国際社会学科、国際交流委員)