恵泉ディクショナリー

アブラハムからモーセ歴史文化学科

[あぶらはむからもーせ] 

アブラハムからモーセとは

アブラハムに率いられて約束の地カナンにしばらく留まっていたユダヤ人ですが、その後飢饉が続いたため当時豊かであった隣の国エジプトに移住しました。エジプトには数奇な運命を背負ったユダヤ人ヨセフが支配者として君臨していたのです。初めの内はよかったのですが、やがて隣国から流れ着いたユダヤ人に対してエジプト人は差別を始めます。ピラミッド建設や大規模治水工事などの大変な仕事を、外国人労働者であるユダヤ人に押しつけてきました。とうとう耐えきれなくなったユダヤ人たちは、モーセをリーダーにエジプト脱出を試みます。今から約3千年以上前の話で、出エジプト(Exodus)と言われるものです。しかしこのエクソダスという言葉は比喩的に、古い状態を脱して新しい方向に進む、という意味で使われることが一般的です。一時的とはいえ本拠地カナン・パレスチナを留守にしている間に、当然ながらユダヤ人以外の人々がパレスチナに住みつき生活をしていました。この時もまたユダヤ人は現住民を追い出しました、再びパレスチナ難民が発生したのです。ユダヤ人問題の起源とは、アブラハムとモーセの勉強なくしてはあり得ません。

2012年06月28日 筆者: 岩村 太郎  筆者プロフィール(教員紹介)

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