恵泉ディクショナリー

外発的発展論国際社会学科

[がいはつてきはってんろん]  Exogenous Development

外発的発展論とは

インフラ整備を行えば、内外からの投資が引き起され、雇用の拡大・住民の所得の向上が図られ、経済がよくなるという神話がある。日本でも、第二次大戦後の高度経済成長時代には、大型経済インフラの整備、大企業による大型投資といった政府主導の近代化論に依拠する外発的発展論に基づく開発が進められてきた。
このような開発手法では、開発に必要な資金・技術・人材などが、国や地域の外から動員され、得られた富の大半は外に流出することになる。結果として、その国や地域の人々は、せいぜい工場の従業員か、場合によれば開発から除外された状態でとり残される。グローバリゼーションの展開によっては、外から入ってきた工場なども海外などに移転し、産業の空洞化が発生している。これは、今の日本の各地で、または発展途上の国々でも見られる現象である。
途上諸国へのODA(政府開発援助)の多くの部分が、外発的発展論に依拠したインフラ整備への支援に向けられている。このような実態をどのように変えていくかが、今後のODAの課題といえよう。

関連する言葉として、トップダウン、内発的発展論、ボトムアップ、ODAがある。
恵泉では、国際関係入門、国際協力論、ODA論といった講義でこれらの用語の説明が行われている。

2013年01月07日 筆者: 谷本 寿男  筆者プロフィール(教員紹介)

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