本講座では、18世紀から20世紀初頭のヨーロッパの装飾芸術について4回にわけて学びます。はじめに18世紀ロココの室内装飾や工芸作品をじっくり鑑賞します。次に19世紀にヨーロッパで一世を風靡したジャポニスムについて、絵画や工芸作品を中心に観察しながら理解を深めます。その後、19世紀後半にイギリスで活躍した「近代デザインの父」と称されるウィリアム・モリスのデザインと、彼が主導した美術工芸運動「アーツ・アンド・クラフツ」について考察します。最後に、19世紀末から20世紀にかけて開花した芸術様式アール・ヌーヴォーと、20世紀初頭に広まるアール・デコについて、建築、工芸、インテリアデザインと幅広く取り上げわかりやすく解説します。
講座開講中にあたる2018年冬には、東京都庭園美術館にて「エキゾティック×モダン-アール・デコと異境への眼差し」展が開催されます。この美術館は、戦前にパリに遊学された朝香宮夫妻の邸宅として、1933年に建てられ、アール・デコの名建築として国の重要文化財に指定されています。この講座では、こうした装飾芸術に関する展覧会をより深く味わうために役立つ「デザインを見る眼」を養います。タピスリーや陶磁器、ガラス工芸品など、日常に彩りをあたえる装飾芸術の魅力をご一緒に学びましょう。(掲載図版《ブーシェのタピスリー》18世紀、ゴブラン製作所、J・ポール・ゲッティ美術館所蔵)