ヨーロッパ世紀末芸術の煌き―ロートレックからクリムトまで

本講座では、19世紀末ヨーロッパに花開いた美術について、パリ、ロンドン、ウィーンの3大都市を中心に4回にかけて学びます。最初に取り上げるのは、世紀末特有の退廃的な雰囲気の漂うパリ。劇場やカフェをはじめ、ムーラン・ルージュなどのダンスホールに集う人々の姿を、鋭い観察眼と素早いタッチで描いたロートレックの作品を鑑賞します。次にイギリス、ロンドンに注目し、19世紀中ばから世紀末にかけて、ヴィクトリア朝の美術の動向を決定づけたラファエル前派の作品を考察します。その後、19世紀末にフランスからベルギーにかけてひろまった国際的な装飾様式、アール・ヌーヴォーについて理解を深め、最後にウィーンに焦点をあてます。ここでは、ウィーン世紀末を代表する画家クリムトの「黄金の時代」の官能的な輝きを放つ名画をご紹介します。スライド用いて、わかりやすく解説します。

2019年春、夏には、本講座に関連する展覧会が開催されます。イギリス19世紀美術に関しては、「ラファエル前派の軌跡展」(三菱一号館美術館)、ウィーンの世紀末については、日本・オーストリア外交樹立150周年記念して開かれる、「ウィーン・モダン―クリムト、シーレ 世紀末への道展」(国立新美術館)や「クリムト展―ウィーンと日本 1900」(東京都美術館)などがあげられます。講座では、こうした企画展をよりよく味わうための基礎となる知識や作品の鑑賞法についても身に付けます。世紀末ヨーロッパの3都市で煌きを放った幻想的な美の世界をご一緒に巡ってみませんか。(掲載図版《ムーラン・ルージュ》(部分図)1891年、アルビ、トゥールーズ・ロートレック美術館)