世界遺産に登録されて観光化が進んだ白神山地のマタギを例に、土地のアクセス権について考察する講義が行われています。
マタギとは、おもに冬期に狩猟を行う集団で、かつては所有権が明確にされていなかった山林で数百年に渡って自然とともに暮らしてきました。近代以降、マタギが暮らす山林が国有化され、さらに、利用を認められていた場所が世界遺産に登録されたことで、マタギの文化を象徴する熊狩りが難しくなっています。これに伴い、自然を守るのか文化を守るのか、野生動物を狩猟する是非、環境をめぐる公平性などについて議論されるようになっているといいます。
また、オーストラリア先住民の聖地であり、観光地として有名な「ウルル(エアーズロック)」を巡ってのアクセス権についても言及。
観光資源となる環境に対して、社会はどのように向き合えばよいのか...。具体的な事例から学ぶことができる、興味深い講義です。
環境論特講V(エコミュージアム論)
※2014年4月より現代社会学科に名称変更致します
担当教員:松村 正治
地域の自律性と環境の持続可能性とを目指した、地域おこしや観光について現状と課題を理解し、これからの可能性を展望します。社会学の視点から観光事象を分析し、社会と環境にとって望ましい観光のあり方を構想します。