里地里山プロジェクトで餅つきをしました
(報告:人間環境学科4年 Y.T.)
1月27日に米作りの集大成である餅つきを、一本杉公園の古民家を借りて行いました。籾すり・脱穀でたいへんお世話になった小林重一さんはじめ地元の方々、みどりのゆびの方々、そして今年は多摩大学の学生さんもいらして下さり、総勢23人が参加し、青空の下みんなでワイワイがやがやぺったんぺったんと行いました。
まず、かまどに薪をくべ、火をおこして、もち米を蒸します。小林文重さんにもち米の上手な蒸し方を教えていただきました。恵泉の教育農場産の野菜がふんだんに入った味噌汁作りも同時進行。みどりのゆびの方々の差し入れのネギやお肉も入り、具だくさんのお味噌汁になりました。仕上げは小林さんが育てた大豆とお米の手作りお味噌。
お餅がつき上がったら、きなこやあんこ、磯部に大根おろし、納豆でみんなで味付け。大根と納豆に入れたネギは恵泉産です。一回目に蒸した分のお餅がつきあがると、つきたてのお餅とあったかい味噌汁を囲んでのお昼ご飯です。自分たちで籾をまき、田植え、稲刈り、脱穀をして、ついたお餅は、やはり格別です。小林さんからのなます、みどりのゆびからのみかんの差し入れが加わり、にぎやかな食卓となりました。
お昼ご飯がひと段落したところで、小林さんご夫妻と峰岸さんから、この地域についての貴重なお話を聞かせていただきました。田んぼのある小野路は、今でこそ町田市ですが、かつては大学や一本杉公園などの広い地域が、同じ小野路地区だったことに驚きました。つまり、新選組局長近藤勇が道場主として出稽古に来ていた頃は、大学のあたりも含めて小野路地区だったと思うと、歴史好きの私はちょっと感動しました。また、今回餅つきを行った一本杉公園の古民家が、小林文重さんのお兄様が住まわれたことのある家だったと聞き、深いご縁を感じました。他にも戦時中の農家の暮らなど、どれも興味深いお話でした。
お昼ご飯が終わる頃には、次なる餅米が蒸しあがり、お土産用のお餅をまたぺったんぺったんとつきました。それなりに力を入れた上に、臼に当てて木屑がお餅に入ってしまわないよう、お餅に狙いを定めるのは難しかったです。小林重一さんのお手本のようには、なかなか...
2年目の米づくりは、幼苗をカモに食べられてしまうなど様々なハプニングがありました。小林重一さん、近隣の谷戸で活動している「結の里」など、地元の皆様に苗を譲っていただき、お蔭様で無事にお米を収穫することができ、そして餅つきをすることができました。
私が学生として参加できるのも、今年で最後だと思うと、儀平さんに教えていただきながらの田んぼでの2年間が思い出され、感慨深いものがあります。一からの田んぼ作りで、地元の農家の方々、みどりのゆびの方々など様々な方にお世話になり、改めてつながりの大切さを学ぶことができました。一部分だけを見ているだけでは、本当に大切なこと-自然と人をはじめとする様々なつながり-は見えてこないのですから。このつながりを絶やさないように、後輩たちにも頑張ってもらいたいです。
里地里山プロジェクトを通して学んだこと
(報告:人間環境学科4年 大石南)
恵泉女学園大学人間環境学科4年の大石南です。昨年、皆さんのご協力を得て、2012年12月に、「町田市小野路地区の谷戸田の耕作状況の変遷と再生活動の現状と課題に関する考察について」卒業論文を書き、提出することができました。
谷戸田の耕作状況を調査するに当たり、ご協力いただいた近隣農家の皆さま、実態調査でご協力頂いた調査団体及びその関係者の皆様、アンケート調査にご協力頂いた恵泉女学園大学の学生と教職員、調査のきっかけを与えて下さった広瀬儀平氏をはじめとする里地里山プロジェクトの皆様、本当にありがとうございました。
今日は、2年間の私の学びを少しではありますが、話したいと思います。調査では、小野路地区の谷戸田の耕作状況と管理の実態について調査を行いました。また、アンケート調査では、恵泉女学園大学の学生を対象とし、谷戸田の管理活動が、参加者に与える影響を検討しました。
私が調査を通じて、学んだ事は、大きく分けて2つあります。1つは、谷戸田は農家の日々の営みによって維持されてきた場所であるということです。現在耕作されている谷戸田の多くは、個人によって耕作が継続されています。また、小野路地区の谷戸田は泥田が多く、暗渠排水が行われるまで、渡り木を使用して田植えをする、水温の低い湧き水が稲に直接当たらないようにテビクロというものをつくるなど、労力や手間のかかる作業が多くありました。こうした農家の手間があって今の谷戸田の風景が存在しています。
私は初めて大犬久保谷戸に訪れた時、その温かな風景に心を動かされました。この調査を通じて、その温かさは、小野路に住む人々の日々の営みから、生まれるものであると改めて実感しました。
2つ目は、谷戸田は、周囲の自然環境と密接に関わっているということです。調査地でも雑木林の荒廃、水の減少など谷戸田周辺の自然環境の悪化が耕作を継続する上で問題となっていました。このことから休耕状態の谷戸田が増加する問題は、調査団体を増やせば解決できるという簡単な問題ではない事が分かりました。
一方で、谷戸田は、雑木林などの丘陵部と密接に関わっていることで生物多様性も高く、谷戸の景観の魅力になっています。私自身谷戸田の管理活動に参加し、谷戸田は米の生産性だけでなく、農と食のつながり、人と人とのつながり、人と生き物とのつながりをつなげていることに気付きました。地域の人が耕作を続けてきた谷戸田は、現在でも、私たちが失いつつある人や生物などとの「つながり」を育くむ場となっています。
恵泉女学園大学のアンケート調査において、参加者の関心を示した言葉を分析しました。その結果、有志活動では、関心を表す言葉の数が多いことが分かりました。特に参加回数が多いほど、関心を示す言葉は多くなっていました。目には見えないけれども、学生の中で知識と経験は結びつき、関心の幅が広がっています。
里地里山プロジェクトの現場は、私が調査した中で、唯一大学が関わっている谷戸田でした。今後も、教育機関として活動を継続していくことが、恵泉女学園大学に求められていると思います。
私は谷戸田での経験を通して、自分の生活が多くの人の支えによって成り立っていることを知りました。谷戸田での経験が、自分の知識を広げてくれました。
1、2、3年生の皆さん、この谷戸田で、様々な人、生き物と出会って自分の可能性を広げてください。皆さんの知識がこの谷戸田で様々な広がりを見せ、いつまでも学生が谷戸田で活動していることを願います。小野路の農家の皆さま、NPOみどりのゆびの皆さま、これからもご指導よろしくお願いします。
3年間本当にお世話になりました。ありがとうございます。
(餅つきの時に発表する予定だった原稿です)