「チャンネルの恐怖」

 

 前回の内容を引き継いでしまいますが、わたしも放映中の朝の連ドラ「ひよっこ」は比較的よく見ています。だんだんはまってきているという感じです。ストーリーがどんどん劇的に展開していくという訳ではないのですが、様々な味わいのエピソ―ドが積み重なって少しずつ変化が起きていき、また集団就職からレストランへ、寮からアパートの一人暮らしへとヒロインの境遇が変わるごとに面白い脇役の俳優さんたちが次々と登場してくるし、レストランの裏口のおなじみの場所で近所の店の店主などのメンバーが出てきて、色々と突っ込み合うのはコントドラマのようだったり、ある回では結局終わりまで一度もヒロインが出てこなかったりして、普通そうに見えてなにか予想の付かない展開もありそうで目が離せなくなってきました。そんなドラマ自身の面白さもありますが、街角の雰囲気とかヒロインが住んでいるアパートの畳の部屋や台所のガス台とかレトロな雰囲気が懐かしいです。 こういう映像に大脳皮質が刺激されるのかふと子どものころ家にあったテレビを思い出しました。 昔のテレビはだいたい4本脚で立っていた、かつ電源と音量調節用のそれぞれの「つまみ」とチャンネルがついていたと聞いても学生の皆さんなどは想像がつかないかもしれません。そしてなぜかこのチャンネルがしばしば外れたのです。これが子供ごころには恐怖でした。なぜならたとえば見ている画面に不気味な怪獣とか気持ちの悪いもの(蛇や虫など)が突然映し出された時、つまみを回しオフにするかすぐさまチャンネルを回して別の局に変えたいのですが、そんな時チャンネルがゆるんでいるとまさにパニックです。そういえばホラーなドラマを見ていて、向こうから近づいてくる怪人の恐ろしい顔がどんどん画面にアップになっていくのにつまみを回しても電源が切れないし、チャンネルを回そうとすると外れてしまう、という悪夢まで見た記憶があります。いまなら、「リモコンが見つからない~!」というところでしょうか?                           (A)