「いたいのいたいの飛んでいけ」
この夏、外出先で転んでしまいました。少し出ていた歩道のブロックに足を引っかけたと思われます。あっと思ったときはすでにおそし。日常の一瞬の亀裂を襲う巨大な力・・・重力。膝とあごをしたたか打ってしまいました。間もなく膝と共にあごにも半分そり忘れた顎ひげのような黒いあざが・・・。心配な時はまずは医者に、ですが、最近病気やケガの症状や治療法をネットで調べてみることも多くなっています。今回も「打撲」「あざ」などのキーワードを入れると実にたくさんの情報が出てきました。治療や症状の経過についてのさまざまな質問と回答、コメント、あざの色の変化まで。しばらく調べていると、お母さんたちのクチコミサイトがでてきました。親が子供が転んだとき、打ったところをもんでしまう。今は冷やすのが常識なのに。勝手に民間療法みたいなことされて困るのよね。孫の世話をする自分の親たちの打撲の対処法にかなり怒っているようす。それを読んでちょっとドキッとしたのです。これって自分が子供の時にまさに親からされていたことでは・・・?打ち身のときは直ちに冷やすのが現在の正しい治療法。しかし子どもの頃頭をどこかにぶつけたり、転んで膝を打ったりしたときなどよくぶつけたところを撫でててもらったのを覚えています。「ちちんぷいぷい痛いの痛いの飛んでいけ」などと言われながら・・・。どきっとしたのは、自分も、うっかり同じことを他人にやり兼ねないとふと思ったからで、実際今回転んだ直後も思わず打った顎をさすってしまいました。それでなんだか痛みがまぎれるような気がしてしまったのです。子どもの頃と同じように。「ちちんぷいぷい」というたわいのない「おまじない」言葉も今の若いお母さんたちからすれば「民間療法」の非科学的印象を強める単なるあやしげな言葉なのかも。これもある意味昭和は遠くなりにけりということでしょうか?(A)