「クマのプーさん展」
つい先日、新聞でこの催しの紹介記事を見つけ、去年、大学構内でチラシをみつけて喜んだことを急に思い出したのでした。あの頃は2月なんてずっと先のこととおもっていたのですが・・・。この展示の「目玉」といえば何と言っても挿絵を担当したアーネスト・ハワード・シェパードの鉛筆の下描きを始めとした原画でしょう。「クマのプーさん」のストーリーはもちろんですが、このシェパードの挿絵が大好きです。ところでこの挿絵についてずっと「なぞ」のように思っていたことがありました。それはクリストファー・ロビンに可愛がられていた本物のぬいぐるみの「プー」と挿絵の「プー」がどうみても似て見えないということでした。子どものころ「クマのプーさん」を読み、その「あとがき」に「プー」の写真が載っているのを初めて見た時は余りに挿絵とちがっているので「え、これが?・・・」とびっくりしたことを憶えています。写真の「プー」は挿絵の様にお腹もでていないがっちりタイプ。顔つきだって目も大きくて気が強そうな感じ。しかしデフォルメということも絵にはよくあることだし、この全然似ていないぬいぐるみのプーからあの挿絵の「プー」を創造できたシェパードさんは、それだけにすごい画家だったのだ、とそれなりに納得はしていたのです。
ところが最近図書館に入ったA.A・ミルンの伝記の『グッバイ・クリストファー・ロビン』を開いた時その謎が解けました。シェパードの「プーさん」のモデルは彼の息子がもっていたぬいぐるみのクマだったのです。写真に撮られたそのクマのぬいぐるみは丸いお腹に短い手足の体型からちょっと寄った小さな目の位置までも、まさに挿絵の「プー」そのものです。しかしこの「真相」を知ったからといってシェパードさんへの尊敬の念が減ずることはもちろんないのですが・・・。
「クマのプーさん展」は2月9日が初日ですが、期間が長いようなのでもっと暖かくなったいつか、挿絵に会いに行ければと思っています。 (A)