故郷は遠きにありて・・・?
8月の終りに思い立って、信州の高原へ行ってきました。東京の暑さから逃げ出したかったのと、懐かしい場所を再訪したかったのです。「暑さから逃げる」方はあまり成功したとは言えず、蒸し暑くて、高原のさわやかさを満喫するという感じではありませんでした。それでも東京よりはしのぎやすく、コスモスも咲いていて、少しだけ秋の気配を味わいました。
この高原は小学校1年生の頃に家族旅行で訪れて以来、何回か行っていて、その移り変わりを眺めてきました。昔はお店など何もなく自然がそのままに存在している、そんなところでした。ひたすら歩いて山に登ったり川で水遊びをして楽しむ-私の「高原」のイメージはこのころにつくられたものでしょう。その後、学生時代に行ったのは無謀にも(?)真冬で、そんな寒い時期に訪れる物好きは私たちのほかにほとんどなくて、ひっそりとしていました。ところが、数年後に行ったときはびっくり仰天!ここはどこ?原宿か?!駅前は若者でごった返し、食べ物屋さんやら小物屋さんなどが立ち並び、私の中の高原イメージはガラガラと崩れていきました・・・。それ以来長いこと、訪れなかったのですが、昔を懐かしむ年齢(?)になると自分を形成した場所(大げさですが)に行ってみたくなるものです。
町はひっそりと静まり返っていました。夏のシーズンは終わり、秋にはまだ早いという時期の平日だったせいもあるのかもしれませんが、あんなにあったお店は消え、空き家札のついた建物もあり、という風景はもの寂しいともいえるし、落ち着きを取り戻したともいえるのかもしれません。けれども、もはや昔の「高原」が戻ることはないでしょうし、私のイメージにしても都会に暮らす人間のわがままなのかもしれません。この場所がこれからどのように変わっていくのかを遠くから見守っていきつつ、自分の持つイメージは大切に記憶の中にとどめておくことなのかな、などいろいろと考えてしまったのでした。 (M)