「聖地巡礼」
『活版印刷三日月堂』というシリーズをご存知でしょうか。川越にある活版印刷所三日月堂を中心にして昔と今、そしていろんな人をつなぐ連作短編集です。最近立て続けに2冊出て、完結(おそらく)しました。こうした連作短編という形式の小説が最近ふえたような気がします。登場人物がほかの話でもちらっと顔を出したり、語られていなかった部分や人となりがほかの登場人物の話の中で明らかになったりして、そして全部がきれいにつながる、そんな感じでしょうか。このシリーズを読んで活版印刷にはまってしまったことについては以前にこのブログで書いているので(調べたら、この本について書くのはこれで3回目のようです)、今回はいわゆる「聖地巡礼」について少し。
この本の「聖地」といえばやはり川越でしょう。古い話ですが、以前に朝ドラで川越を舞台にしたものがあり、そこで「小江戸川越」を知りました。行ってみたいと思ったものの、なかなか機会がなく、今年になってついに実現。暖冬のせいか、小春日和のような天気で散策にはぴったり。蔵造りの家が並ぶ通りはけっこうな人出でしたが、何回も来ている友人の話だと、これは少ないほうで陽気がよくなったらもう歩けないくらいだとか。蔵といえば、普通は家の奥のほうにあるというイメージですが、川越は商いの町だったので火事になったときに住居部分は焼けてもお店のほうを蔵造りにしておけばすぐにでも営業できるように通りに面した店舗部分ががっしりとした蔵造りになっているそうです。なるほど。こうした町並みを保存するにはいろんな困難があったと思います。電柱がないのもすっきりした景観の維持に役立っていると感じました。
この日は夕方たどり着いた春日局ゆかりの喜多院が閉門時間ではいれなかったという失敗もあり、食べ損ねたものもあり、なのでまた行こうと思っています。 (M)