サヘル・ローズさんとバラ
TV出演やYouTubeなどでタレントのサヘル・ローズさんをご存じの方も多いと思います。イラン出身のサヘルさんは、イラン・イラク戦争のために孤児として育ち、8歳の時、養母となったジャスミンさんと来日。その生い立ちと経験から、現在、女優の仕事のかたわら、難民救援や親のいない子どもたちの支援活動を、戦争や差別のない社会、平和への強い志を胸に続けています。先週、サヘルさんとジャスミンさんにお目にかかる機会がありました。恵泉や多摩市で育てているICAN Rose(アイキャン ローズ)をサヘルさんが育ててくださることになったのです。アイキャンローズは、2017年にノーベル平和賞を受賞した国際NGO「核兵器廃絶国際キャンペーン;ICAN)」の名を冠したバラの名前ですが、広島の原爆被害者であり育種家の田頭数蔵さんがICANで活躍する世界の人々の平和に向けた取り組みに感銘を受けて、ご自分の作出した品種に新しく名付けたものです。恵泉女学園と多摩市では大学で講師を務めている川崎哲先生(ICAN国際委員)を通じて、今年2月にこのバラの苗40本を寄贈いただき、大切に育ててきました。
無類のバラ好きのサヘルさんは、自宅近くで120種類のバラを育てているロザリアンでもあります。サヘルさんは「バラは母の故郷への想いを慰めてくれる」と言います。そう聞いてバラの歴史をひもといてみました。
現代バラは4つの祖先となる品種をもつといわれています。そのうちのひとつ、ロサ・ダマスケナは、現在のレバノン周辺に自生するロサ・フェニキアと、西アジアから南ヨーロッパにかけて自生するロサ・ガリカとの掛け合わせから生まれました。その芳香は現代バラに受け継がれ、ブルガリアやトルコで香料の原料として栽培されています。イラン・イラクを含む中東地域はバラの発祥地といっても過言ではなく、バラを国花としている国がいくつもありました!
ジャスミンさんは子供の頃、いつも身近にバラが咲いていた記憶があるそうです。難民として日本にわたり苦労を重ねてこられたジャスミンさん、サヘルさん、愛するバラに核兵器廃絶、平和への願いを重ねて、大切に育てますと笑顔で帰られました。 (T)
☆ICANローズについては、以下で紹介されています。
学長ブログ2月4日 https://www.keisen.ac.jp/blog/president/2020/02/post-150.html
中学・高等学校「恵泉ダイアリー」平和への祈り https://www.keisen.jp/diary/57171/〕